人生観(前)
大地震に襲われてから4ヶ月め。「もう○ヶ月め」という感覚からいつの間にか「まだ●ヶ月め」という感覚へ、多くの被災者が感じているのではあるまいか。わたしの周りはほぼ平静を取り戻しています。もちろん最低限の修復工事を突貫的に行った後の歪んだ道や壊れた橋はそのままだし、通れない幹線道路や鉄道の復旧はいつになるかわかりません。罹災証明の確定が済まずに家屋の取り壊しすらできない家、もはや土地の価値もなくなって建て替えるにも手がないお宅、仮設にも入れずいまだに駐車場や体育館生活を続ける人たちもたくさんおられます。ブルーシートが屋根から消えるのはいつになることか。全国的に有名になった隣町の歪んだ光景は、今でもそこを通るたびにわたしのココロを破壊します。それでも、ただ単に「そんな風景に慣れてきた」というのではなく、確実に前に進んでいるのは事実です。各人が、止まっていた各人の人生を前に歩ませ始めています。
そんな4ヶ月で、自分はどう変わってきたのだろうか。前震と本震の直撃で家の外に吐き出された時にも、その後の大雨で室内の壁から滝のように水が溢れ出した時にも、もはや20年以上慣れ親しんできたこの我が家を諦めざるをえないと冷静に覚悟しました。それでも今、我が家に住み続けられている幸運にココロから感謝。何かと支えて助けてくれた周りの多くの皆さんのおかげで今があることにも、重ね重ね感謝の念ばかり。ところがその一方で、国や県からの補償で復旧進む周りの被災家屋が日に日に新しく綺麗になるのを眺めると、我が家の剥がれ落ちた内壁や壊れたままの天井が妙にみすぼらしく感じられ、『一部損壊』の罹災証明には何の恩恵も権利もないことが、不公平に感じてしまうことを素直に認めます。この”ねたみ”にも似た感情が自分に生じつつあるのは、ちと不本意。 (つづく)
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