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「メタボリックシンドローム」に喧々囂々

さてそれでは公言通り、むかし依頼されて雑誌に連載したもの4編を連続掲載します。アラフィフをターゲットにして創刊されたこの雑誌は4号が出る前に廃刊になりました。この連載は、その当時のトピックスを取り上げています。まずは、メタボ・・・初めてこの単語が世間に広まったころのものです。ちょっとなつかしい。

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「メタボリックシンドローム」に喧々囂々(けんけんごうごう) * (2006.6)

5月8日に厚生労働省がショッキングな報告をしてからマスコミや議員先生がうるさく騒ぎ立ててくれたおかげで、「メタボリックシンドローム」「内臓脂肪」の言葉がやっと市民権を得ました。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓周りに脂肪が溜まりすぎたために、本来その脂肪細胞から分泌されて動脈硬化のコントロールをしていたホルモン群が機能をしなくなり始めた状態です。

そのために血圧が上がり、血糖値が高くなり、血液中に脂肪が余り、動脈硬化が加速度的に進行して、ある日突然に脳卒中や心筋梗塞を起こします。大したことないから、何も症状がないからと放置しておくと、前ぶれなく突然動脈の壁が決壊します。日本人(特に男性)は余ったエネルギーを内臓脂肪に貯めやすい人種です。欧米人のような大きなお腹になってからでは手遅れだということを、メタボリックシンドロームの必須条件=腹囲85cmという数値が物語っています。この「85cm」、世間では“厳しすぎる”と騒いでいますが、医学界では“甘すぎる”として、もっと厳しい基準に変更させたい勢いです。この辺りにまだ意識の隔たりがあります。

病気が進行している方は早めに病院に行ってまず薬をもらってください。躊躇は命取りです。ただしそれ以外の大多数の皆さんの治療はいたって単純。大きくなった内臓の脂肪細胞を元の大きさに戻せばよいのだから、無駄に使って少ししか食わなければよい。夕食のおかずを今の半分しか作らなければよい。車やエレベーターはないものと思って歩けばよい。若い世代ほど危ないから、家族みんなで取り組めばさらによい。内臓の脂肪細胞は膨らみやすい代わりに縮みやすいという特徴を持っています。その気になればすぐに解決できます。

でも、おわかりでしょう。最大の問題は、病気の治療として今すぐその気になって行動に移せるかどうかです。「わかっているけど、なかなかなあ」と逃げ腰なあなた、今が人生の分岐点ですよ。

*(注)本当は「喧々諤々(けんけんがくがく)」と使いたいが正式には誤用らしいのでやむを得ず「喧々囂々」を使います。対象が50歳以上ならこれの方が良いでしょう。

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