競争よりも共存の時代?
今年の熊本地震で日本を代表する半導体メーカー三社が揃って壊滅的な被害を受けて製品製造ラインを一時停止せざるを得なくなったことを教訓にして、今回のような有事の際にはライバル社同士がお互いに協力して窮地を乗り切るシステム作りを検討し始めたということをテレビニュースで知りました。
『ライバル社同士が自社の企業秘密の一部を公開して協力する』・・・ひと時代前には考えられないことです。互いに腹の探り合いをしてこっちのノウハウは教えたくないけれどあっちの企業秘密はできるだけ提供させたい・・・お互いにそうだから結局うまくいかない。企業合併でも、必ずそこのところがネックになってきました。
ただ、共存して市場を二分していた企業の一方がコケた時、もう一方の企業はラッキーかというとそんなことはありません。全てのしわ寄せが一気にやってきて、ほとんどまかないきれなくなるのが目に見えています。ライバルがコケるのは大迷惑なのです。今回のワクチン製造メーカーの不正騒ぎで迷惑を被るのは、残りを作っていた企業だけれど、そこでは到底補いきれないから国民みんなが迷惑することになります。食品不正でもそう。そしてわたしたちの世界でもそうです。
むかし、典型的なライバル病院で心筋梗塞の急性期治療の数や成績をいつもうちと競っていたA病院の部長先生が急病で倒れて入院されました。世間からは「これでしばらく安泰ですね」などと悠長な言葉をかけてくれましたが、とんでもありません。急に心筋梗塞患者さんが倍増しても治療が追いつくはずないのです。結局、市内の救急治療を行える複数の病院で協力して急場をしのぐ羽目になりました。幸い、数ヶ月後に部長先生が現場復帰してくれたおかげで共倒れせずに済みました。
ライバル企業の秘密を掴んで、騙したり蹴落としたりして上にのし上がるような野心家の管理する会社は今でも存在するのでしょうが、お互いに切磋琢磨しながら業界をリードしていくという考え方は、単なる理想論ではなく、今ではお互いが生き残るために必要不可欠なコンセプトのように思います。
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