予防は結果論
予防医療の世界にいながらこういうことを書くのは不謹慎なのかもしれませんが、予防というのはあくまでも確率論の世界であり、結局は人生を全うする直前の総括のときにどうだったかという結果論なわけです。
高血圧があると血管壁に常に圧力をかけて傷を付けるから脳卒中や心筋梗塞を起こしやすく、あるいは長年の負荷に堪えきれず動脈に瘤ができて破裂を来したり心不全になったりする確率が高くなります。だから、早い時期から躊躇することなく降圧剤を服用して、健全なカラダでいるべきだと云う。糖尿病然り、脂質異常然り、肥満然り。だからといって、何もせずにほったらかしていたら必ず命に関わる大病を患うのかといえば、そうと決まったことではありません。ずっと200mmHg以上の高血圧を続けたまま元気で長生きしているヒトはザラにいます。節制して早々から薬剤治療してても早死にするヒトはする。「そんな迷惑な話はない。オレは長生きなんかしたくないから、好きなことやってさっさと死ぬんだ」とか云ってる人間の方がいつまでもこの世に蔓延ってしまったりする。たとえ若くして亡くなったとしても、もし予防していたら亡くならなかったのかといえばそれは不明。逆に、もし他の理由で亡くなったとしても裏でどの程度の悪影響を与えていたかはわかりません。そりゃそうです。個人の体質というモノがあるし運とか社会環境とか・・・だから確率論なんです。
そうです。だから確率論なんです。自分の人生が成功だったか失敗だったかなんてのは、日々のチェックリストに○がいくつあったかで判断されるものでもなく、生きていた(元気でいた)長さで決まるものでもありません。ただただ、予防しておいた方が何が起きても後悔する確率が低いだろう、というだけのことだと思います。
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