全否定
厚生労働省から日本心臓病学会宛に送られてきた通達です。青黛(せいたい)を摂取した潰瘍性大腸炎患者において、肺動脈性肺高血圧症が発現した事例が数件あることが判明したというものです。
青黛(せいたい)とは、リュウキュウアイ、ホソバタイセイ等の植物から生成され、中国では生薬、日本では染料(藍)や健康食品などに使われています。「近年、潰瘍性大腸炎に対する有効性が期待され、臨床研究が実施されているほか、潰瘍性大腸炎患者が個人の判断で摂取する事例が認められ」ているとのことで、警鐘が鳴らされたわけです。薬剤=毒物、自然界のモノ=安全というイメージを持つヒトは多いですが、実はどっちもどっちです。健康食品の効果が口コミで広がって自己判断で使うことによるトラブルは以前から後を絶ちません。
ただ、わたしが懸念するのは、「だから健康食品なんて怪しいモノを口にするのは一切止めなさい」と全否定する医師たちがとても多いことです。自分で調べてみて、信じられそうかどうかの知識を得ようとする努力はしてもらいたい。藁をもすがる思いの患者さんは当然自分の病気について可能な限りの情報を集めますし可能性があれば使ってみようとする。どうせ主治医に聞いたら「止めろ」「オレを信用できないのか」と頭ごなしに叱られるから、主治医に相談することなく使ってみているという患者さんはたくさんいます。主治医が一旦受け止めてくれるかどうかは、思いの外重要な要素です。医師は、日頃からこの手の話題に高いアンテナを張り巡らして自分なりの評価をきちんとしておいてほしいと思います。
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