重症化予防(前)
『重症化予防』
わたしは、このコトバが大キライです。なのに、わたしに講演を依頼する団体は必ず云うのです。「生活習慣病の重症化予防のために必要な知識と方法を講演してください」と。自治体はこの『重症化予防』というコトバが好きです。重症化予防こそが予防の根幹だと思い込んでいるようなのですね。
わたしが臨床現場から予防医療の世界に入ってきたとき、わたしもそう思っていました。わたしが健診医の道を選んだのは、修繕屋の仕事に限界を感じたからです。詰まってしまった動脈硬化のなれの果てを治療して「通った!」と喜んだところで、もうすでに全身は蝕まれている。もっと前から何かを始めなければ、それが何かということに気づかなければずっと後手後手の人生になる。そうならないようにアドバイスをする仕事をしたい・・・そういう想いでした。そしてまた、健診現場に来てみたら、臨床医時代に思っていた以上に予防の概念は重要だと云うことも思い知らされました。
そんなわたしが、『予防』は重症化予防とは違うと思い始めたのはいつのころからでしょう。『重症化予防』はつまり、わたしが主張している『後ろ向きの予防』の最たるものです。取り組みの前提に『病気』ありきで、アウトカムとして設定しているのは”病気で寝たきりになったり病院通いをしない人生”であって、”病気など気にしないでゴキゲンな人生を送る”という『前向きの予防』ではないところが、どうも気に入らないのです。
(つづく)
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