「肝機能」の混乱
米国消化器病学会(ACG)が昨年末に肝酵素のALTやAST、ALP、ビリルビンの検査に関するガイドラインを発表したというニュースが配信されました。どうも、初めてALTの正常上限値が「男性29~33IU/L、女性19~25IU/L」に定められたことがポイントらしいです。今まで基準値を算出する際の参照基準とする「健康な集団」の条件が一致していなかったために施設で値がバラバラだったものを統一したのだそうです。ASTが18IU/L超の男性において、それよりも低い男性に比べて全死亡リスクが3倍だったとするドイツの報告やALT上昇(男性30U/L超、女性19U/L超)が肝疾患による死亡リスクの8.2倍の増加と関連していたとするNHANESのデータに基づいた報告も記載されているのだとか。
さて、この肝酵素の値、予防医療の世界では本当に悩ましいです。基準値がどんな値でも良いのですが、「異常高値」がどのレベルからなのか、痛くも痒くもない”沈黙の臓器”の主張を代弁するのはなにしろ難しい。「何かの異常を訴えているかもしれないから、ちょっとでもおかしかったら専門医に紹介しとけば良いんだよ」とお偉い方々は云い放ちますけれど、大部分は結局「問題なし」あるいは「健診で経過観察」などと云われて追い返されて、「送った方が悪い」みたいに当事者には思われてしまうんです。何かもう少し特異度も感度も高くて簡単で健診でも使えるコスパの良い検査方法を見つけ出してもらえないものでしょうか。
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