予防医療の心房細動に対する使命
先日受講した日本心臓病学会教育セミナー(ファンダメンタルコース)は、現場から離れて15年のわたしには付いていくのがやっとでしたが、そのランチョンセミナーで関西医大の宮坂陽子先生が話された『新時代を迎えた心房細動:次に考えるべき課題』は予防医療に携わるわたしたちにとっては大変重要な話として受け止めました。
近年、心房細動は増えていること、心房細動と診断されると数年のうちに死亡する人が少なくないこと、特に女性は男性よりも重篤になりやすいことなどをお話しいただいた後、如何にこの心房細動にならないようにするか(一次予防)と、無症状の心房細動を如何に早く発見するか(二次予防)、そして合併症を如何に予防するか(三次予防)について説明されました。特に一次予防と二次予防はわたしたちの仕事です。
心房細動になりやすい危険因子の代表は高血圧と肥満と心不全。そのいずれもが増加傾向にある昨今ですが、わたしたちが関与するのは前二者です。早い時期から血圧管理を厳重に受けるように促すことと肥満予防、つまりはメタボ予防・・・責任は重大なのであります。二次予防として、心房細動患者の25%が無症状であることから、早期発見の重要性も示されました。
・年齢65才以上
・基礎疾患のある人(CHADS2スコアが2点以上の人)
・ホルター心電図検査で上室性期外収縮が102個以上ある人
・心エコー検査で左房サイズが大きくなっている人
これらは高い確率で発作性心房細動を起こしやすいので、脈拍の触診や健診の心電図検査を積極的に勧めるべきだ、と宮坂先生は強調されました。
心房細動の合併症で重要なのは特に心不全と脳梗塞ですが、脳梗塞はきちんとした抗凝固治療をすることで予防できると云われています。でも、実際はあまり厳密な管理が行われていません。出血の懸念と本人の自覚の不足からだと思われます。
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