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2017年3月

マイクロバイオータ

職員健診の大腸検査の待ち時間にやっと読み始めることができた『腸科学~健康な人生を支える細菌の育て方』(早川書房)。

マイクロバイオータ、つまり腸内細菌叢=腸内フローラの入門書として昨年秋に発行されたこの本、読みやすいけど厚すぎる。でも面白いので、ぜひ、特にこれからお子さんを生むとか離乳期のお子さんがいるような若いお母さん方は読んでみるといいと思いました。

まだ全部を読み終えていないけれど、「たかが細菌 されど細菌 」どころではありません。「人間は細菌でできている」「細菌の出来が人間の資質を決める」という事がジワジワと理解できてきています。

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「新生児に最初に移り棲んだ細菌の仕事は、子宮内にいたころにあった酸素を消費して無酸素の環境をつくることである。」
「無菌状態の胎児が経膣分娩で最初に出会うのが、母親の膣と肛門細菌である。最初に出会ってその後のその子と長期にわたって共存する細菌が母親譲りであるということはとても理にかなっている」
「ところが、帝王切開では最初に遭遇する細菌は母親の皮膚由来だけでなく、医師や看護師の皮膚の細菌の可能性もあれば病院内のそれである可能性もある。最近の報告では、帝王切開で生まれた子は肥満やアレルギーや虫歯やグルテン不耐症が多いという。さらに帝王切開では抗生剤投与も行われることによってさらに腸内細菌叢の分布を変えてしまう」
「離乳期に、人生最大の再構成がマイクロバイオータに起きる。つまり離乳期に何を食べさせるかがその子の腸内細菌叢を決めるとともに、この時に腸内細菌叢の質をよくさせるチャンスでもある。」

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ちょっと書き写すのが面倒くさくなったので、この辺にしておきますが、マイクロバイオータ(腸内フローラ)の世界は、単なる時のブームでは終わらない感があります。人間のカラダに起きる全てのことが腸内細菌叢で作り上げられていることを証明しようと学者さんが目の色を変えています。これらの単語にアンテナを高くさせて、正しい知識を吸収させましょう。 

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アメリカ人の死因

米国の心臓病・脳卒中・糖尿病死の5割が食事に問題/JAMA(Care Net2017.3.16配信の記事から)

最近、同じような内容が頻繁に形を変えて報告されるのは、国家的危機に対する政治的な意図があるのでしょうか。心臓病や2型糖尿病といった心血管代謝疾患による死因の約45%が食事に起因していることを発表したのは、国民健康・栄養調査(NHANES)の結果を解析したタフツ大学のRenata Micha氏らのグループだそうです(JAMA. 2017 03 07;317(9);912-924)。

死因として一番多かったのはナトリウムの過剰摂取(心血管代謝疾患死の9.5%)で、次いでナッツ類の少量摂取(8.5%)、加工肉の多量摂取(8.2%)、シーフード・オメガ3脂肪酸の少量摂取(7.8%)、野菜の少量摂取(7.6%)、フルーツの少量摂取(7.5%)、砂糖入り飲料の多量摂取(7.4%)です。一方、2002~2012年の間に年間心血管代謝疾患死亡数が26.5%減少した理由は上記食生活の改善<多価不飽和脂肪酸少量摂取の減少(相対変化率:-20.8%)、ナッツ少量摂取の減少(-18.0%)、砂糖入り飲料の多量摂取の減少(-14.5%)>だそうです。

「悪いモノを減らして良いモノを食えば良くなるよ」という、健康オタクのわたしたちには何も新しい話題のない、どうと云うこともない内容。でも需要があるから作られるし売られるわけで、アメリカ人のこの傾向を改善する方法は、メーカーが悪いモノを作らない(あるいは廉価だったファストフードや赤身肉に多量の税金を上乗せする)方策しかないように思うのですが。

日本人はあまりこのデータを鵜呑みにしなくても大丈夫だということも最近よく云われます。いくら食事が欧米化していても日本人はアメリカ人のようなモノの食べ方は絶対に真似できないから(真似できる人は簡単に自然淘汰されるでしょう)。しかも日本人はニーズにとても敏感で、売れなくなる前に企業の方が先行して「カラダに良いモノ作ってますよ~」攻勢をかけるので、放っておいても大丈夫な様な気がします。

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恩師のこと

日野原先生の『今日すべきことを精一杯!』(新書の書き下ろしだと思ったら1990年のモノを新書版として改めて作り替えたモノでした)を読んでいるうちに、わたしを今の職場に呼んでくれた恩師のことや若かりし日の自分のことなどを思い出しました。

「毎朝8時から9時までの臨床カンファレンスを始めました」か。そうそう、わたしたちも毎朝7時から8時半までカンファレンスとか検討会とか抄読会とかやってました(きっと今でも続けられているのでしょう)。「始業時間になったらみんなそれぞれの仕事に散ってしまって二度と会えないから、皆が揃えるのは朝だけだ」と云うのが理由でした。ボスはその1時間前に庭の畑の手入れをしてから出勤してました。高次救急病院の忙しさの中で毎年日本循環器学会には1人最低でも2題は応募するように義務づけられ、忙しい業務の合間を縫って、大量のカルテを見直したりシネフィルムを見直したりしていました。大学や研究所の様に動物実験をするのではなく、日常臨床で蓄積された莫大なデータの中からテーマを見つけるのですが、想定した通りの有意差がでて喜んでいると、「キミはそんなに喜んでいるけれど、その結果は患者さんにとって何の意義があるの? キミの自己満足じゃないの?」とよく突っ込まれたりしていました。「研究のための研究には意味がなく、自分の研究成果が患者さんにとって何らかのメリットをもたらす様なテーマをいつも意識して診療にあたりなさい」「治療や検査などの日常診療に忙殺されてしまうと医者としてまったく発展できない。忙しさの中に常にアカデミックな志を失わないように」が口癖のボスでした。

日野原先生の半生を読みながら、恩師である職場の元ボスH先生のことに想いが馳せたことを考えると、おそらくわたしが日野原先生の考え方に似てきているのは、わたしが若いときにH先生に出会い、その生き方に感化されて医者人生を送ってきた礎があったからに違いないと思うに至りました。H先生に改めて感謝。初心を思い起こさせてくれた日野原先生に感謝。まあ、医者としてのボスの教えをそれからも守ってやってきたけれど・・・勉強はしなくなったなあ。ボスに会ったらゲンコツ食らわされるかもしれません(笑)

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今日すべきことを精一杯!

『今日すべきことを精一杯!』 (日野原重明著 ポプラ新書)

105歳にしてますますご活躍の日野原重明先生の一番新しい本(2017年3月8日第1刷)を早速読ませていただきました。読みながら、わたしはこの先生の考え方にどんどん近づいて行っているのではないか、と感じるところがたくさんありました。

『生まれてきて本当によかった』と言って死ぬことができれば、
なんと幸せなことでしょう。

最期がミゼラブルであれば、その人は幸せに生きて死んだとは言えません。

これまでのやり方にこだわらず、広い視野をもちましょう。

何歳になっても、毎日毎日自分の身長が伸びるような思いを味わうことができます。

言葉は人を結びつけもするし、遮断もするのです。

歳をとっていくなかで、一人ひとりが自分を作り上げるのです。

自分の変化を感じて、少しずつ新しいことを体験していきましょう。

死を受け止めることで、いろんな意味で人間は成長します。

いのちあるものは死に、バラの花は切り取られて枯れるのです。

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相変わらず、さりげない表現の中に人生の深さを教えてくれるコトバばかりがつづられた本でした。税別800円の文庫本です。興味があったら、ぜひ。

 

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安全と安心(後)

(つづき)

ではこれは一体誰が悪いのか? おそらく医療現場や実験室レベルの常識を一般社会の常識にすり替えた人たちがいるはずです。学者さん方に話を聞けば、「そんな弱毒菌は大部分は問題なく治ります」で留めずに、当然「最悪の場合、死に至ることもあります」という単語で締めくくる。するとそれを報道したり活字にしたりするときは「死に至ることもある」をキャッチコピーとして強調するから、徹底的に殺菌するのが最善策ということになる。そのうち 、こんな特殊世界の常識が一般社会でも皆が知るようになり、一番強い対策をしておかないと安心できなくなる。そんなことしなくても全然大丈夫だよ、と専門家は思っていても公には云えない。万が一何かが起きたら責任問題だから。わたしたちも自分や自分の周りの家族には、「そんなにナーバスにならなくても大丈夫だよ」という対応をするけれど、世間一般の人のことなど知らない。何しろ赤ん坊や幼少期からやれ汚いの不潔だのと云いながら何でもかんでも抗菌で守られてしまった”人間ではない”生き物が、自分たちのカラダと同じだと考えたらとんでもないことになるのだから。彼らはもはやわたしたちとは違う”人間もどき”なのだから。

あー書いていて怖くなってきたから、この辺で。異常な社会になったと嘆いたところで如何ともし難いから、せめて自分だけでもいろんな意味で自己防衛。

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安全と安心(中)

(つづき)

東京都の問題は他人事ですし、ちんたら気弱な尋問しているのを長々と放送されてもなあ、と思うだけでしたが、この『安全と安心』という問題は他にもたくさんあって、とても気になっています。

過剰な清潔概念や抗菌グッズの普及もその1つです。日常生活の何にでも消毒薬を使うようになり、「きれいであるに越したことはない」という考え方が現代社会を凌駕したのはどうしてなのでしょうか。わたしたちが働く医療現場では細菌とウイルスをシャットアウトするのが大前提ですから、何事にも消毒と清潔の概念を叩き込まれますし、それができなければすぐにパンデミックを起こすことでしょう。それは相手が抵抗力の落ちた病人であったり無菌状態が必須の手術現場だったりするからです。でも、一般社会においてはそんなヤワなやつはそう多くありませんし、体内に菌やウイルスが入っていかないように強靭なバリアで守られいることを忘れていないでしょうか。皮膚であり唾液であり鼻毛であり免疫細胞であり・・・。

だから、一般社会においては、菌やウイルスを入れさせないようにするのは容易いことだったはず。むしろ、抗菌剤や抗生剤のせいでもともと共存していた細菌群を瀕死状態にさせたがために免疫力を落としアレルギーやアトピーに悩む子どもや若者たちを大量に生み出したことは明白。今急激に増加している潰瘍性大腸炎の原因もこれではないかと云われています。   (つづく)

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安全と安心(前)

東京都の豊洲新市場移転における土壌汚染の問題で、専門者会議が「きちんと遮断できれば安全性は問題ない。あとは安心が確保できるかという問題だけで、これについては行政が担うべき」という見解を出した、というのがニュースに出ていました。

まさしく云い得て妙の実態なのでしょう。もともとその土地の土壌汚染が甚大であることはわかっていること。だからいかに施設に影響を与えないかを検討して解決できる施設を建設することが前提だったはなし。まあそれがいつの間にか経費削減云々でやるべき処置を取らないままのがらんどうの地下を建設したことに問題がある。その通りなんです。

でも、もはやそうはいかない。たとえ建物を全部改修して当初の計画通りの施設ができたとして、それにどれだけの専門家が安全宣言をしたとしても、そんな汚いところの上に食べるものを扱う施設を作って本当に大丈夫なのか? これまで騙してばかりいた行政の云っていることを本当に信用できるのか? 食品の安全が担保できてもじゃあそこで働く人たちは犠牲にならないのか? 最初からわかっていた実態を住民の全てに知らしめした今となっては、「安心」という単語を獲得するのはもはや不可能だろうという気がします。それでもなんとかしなければならない。文句を云い広げた議員さんや学者さん方は、単に批判をして責任者をあぶり出すこと、ひいては次の選挙でひっくり返す材料にすることしか考えていないから、「じゃあどうしたらいいのか?」という得策を考える気はない。それは都知事が考えることでしょう、となるのでしょうか。

(つづく)

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判定のジレンマ

健診や人間ドックの判定は、ふつう軽い方から、「異常なし」「軽度異常」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」および「治療継続」に分けられます。どの健診機関や自治体でも各検査ごとにこういう区分けをして、そのうち、「要精密検査」と「要治療」に該当する項目に紹介状(診療情報提供書)を発行して専門医の受診勧奨を行なっています。

日本のこの伝統的な縦割り判定システムが時としてとても悩ましいことがあります。例えば、血圧が軽度高血圧の判定(要経過観察)の男性に腹部エコー検査をしたら直径35ミリ大の軽度腹部動脈瘤を認めたとしましょう。自覚症状もないこの程度の大きさの大動脈拡大であれば、一般的には「経過観察」となると思われます。でも、本当はきちんと血圧管理をして必要ならしっかりと内服薬の処方も受けながらの管理をしてほしい。要するに、「経過観察」をするのは誰か?と云えば、循環器内科の外来医師であってほしいと思うわけです。でも、どっちの項目に対しても紹介状は出しにくいし、出したところで外来医師の返事はおそらく「1年後の健診でフォロー」という指示になるに決まっています。お互いに「経過観察」という作業を押し付けあっている感じ。そして当事者はまあ大したことないんだなとばかりに、大した血圧管理もしないまま1年過ごすのでしょう。

そんなことが想像できるから、せめて結果説明の時には血圧管理の重要性を厳しく話したいところなのですが・・・こういう人に限って結果を聞かずにさっさと帰ってしまうわけです。

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不毛の時間

最近の報道は、ちょっと勘弁してほしい、とつくづく思うようになりました。歳をとったせいでしょうか。やれ豊洲問題だ、百条委員会だ。やれ森友学園問題だ、証人喚問だ。というだけで、どのテレビ局にしても、ああでもないこうでもないと批判合戦。まことしやかな文化人然とした専門家らしきコメンテーターが一言一句に解説を加えたり、こんなことじゃ何も解決しない!と語気を強めたり。うんざりするから番組を変えても同じことを違うコメンテーターが論じているだけ。

まあこんなスキャンダルだけでなく、選挙期間中も思っていましたし、プロ野球開幕前のキャンプ情報もそうですが、とにかく予想や解説がうっとうしい。あんたらが何をいったって何も変わりゃしないのだから、事実だけ解説しておけばそれで十分ではないか。陳腐なことをいったら目立たないものだから、何か自分の存在価値を高めたいであろう持論を展開するのはまだわかるけれど、各番組の司会というかメインキャスターというか、そういう連中までもが重箱の隅をつつくような質問で火に油をそそぐものだから、何を云いたいのかよくわからない議論になったりする。基本、批判ばかりで終わるのもうっとうしい。たまには誉め殺しで番組を締めくくってみろ!

事実しか述べないNHKのニュースでは味気なくてこれでは新聞を読むのと同じ。もっと感想や解説を交えたわかりやすいニュース解説がほしいということで民放から始まったニュースキャスター&コメンテーターの形式。今や、ニュース番組の常識になったけれど、最近になって、要らない主観を交えないNHKのニュース報道の方がはるかにスッキリして気分が良いと感じるようになりました。やっぱり、歳をとったのか。

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肥満とがん

肥満と関連の強い11のがん種/BMI

Care Netで2017.3.13に配信された英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの研究報告の概要を読みました。多くのメタ解析の論文を包括的に検討したものだそうです。それによると、BMI(肥満度)の増加に従ってリスクが上昇するがんは食道がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系および膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫であり、体重増加およびウエスト-ヒップ比が発症リスクの上昇と関連したがんは、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんおよび子宮内膜がんだけだった、とのこと。

肥満ががん発症に関連することは以前から認められていることではあるのですが、欧米人にありがちな遺伝的超肥満の皆さんは別にして、日本人の多くが直面する生活習慣に関連した肥満が、直接がん発症の引き金になるのかどうか、この部分の解釈が難しいのです。太ったからがんになったのか、それとも太るような食生活や日常生活パターンの乱れががんを引き起こしたのか? あるいはどんな手段を使ってでもやせさえすれば、がんのリスクは本当に減少するのか? そこを評価するのは至難の業だと云う気がします。それでなくても健康のためなら何にでも取り組む健康宗教信者の多い日本人は、特に太ってもいないのにもっとやせようとして本末転倒になる人がたくさん出てきているのだけれど、彼らはさらに、「だって太るとがんになるんでしょ」と云いそうで怖い。

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妄信的「健康」信者

健康に良いといわれる食品が本当はどうなのか?

米国心臓病学会(ACC)生活習慣・栄養作業部会のAndrew Freeman氏のコトバの通り、「誰かが『これがよい』と言ったかと思えば、翌日には『よくない』と言っている」現代社会において、少なくともエビデンスの評価を提供することは重要なことだとわたしも思います。

●野菜や果物をジュースにして飲む「ジューシング」はビタミン、ミネラルなどの栄養素の吸収率を向上させるがせっかく含まれていた繊維質や栄養素を除去してしまう。
●高用量の抗酸化物質サプリメントを飲んでも、単に抗酸化物質を豊富に含む食品を食べること以上の効果は得られない。
●ココナッツオイルは健康に有害な飽和脂肪を多量に含んでいる。
●グルテンフリーダイエットは、グルテン過敏症やセリアック病の人には有益だがそれ以外の人には何のメリットもない。グルテンフリー食品は加工炭水化物の比率が高いので全粒穀類のほうが健康によい。
●卵よりも肉や乳製品に含まれる飽和脂肪のほうがコレステロール値への害は大きい。

などが紹介されていました。ま、うふふのふです。想定以上でも以下でもない報告ですが、「健康」という宗教に盲目的にひれ伏している現代社会の人々にとっては、正しい道に導き給う福音であってほしいものです。

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嬉しそうな顔

「ねえ、わたしすごいでしょ。こんなのができるようになったよ」「わたしは褒められて伸びるタイプなのだからもっと褒めてよ」と事あるごとに屈託無く自慢ができる妻を見ていると、ちょっと羨ましい。わたしなんか、周りからちょっと褒められるとすぐにはにかんでしまうものだから、「また、そんなに嬉しそうな顔して」とすぐに横にいる妻にからかわれてしまいます。「そんなことねえわ」と不機嫌になるのが常です。

わたし、自分の感情を表に出すのに慣れてないのです。おそらく子どもの頃の躾の問題なのかな、と思います。両親ともに学校の教師だった我が家では、男たるものちょっとした事で感情を表情に出すな!などと口に出して云われたことはないですが、自分の担任含む学校の先生全部が両親の知り合いみたいなものなので、親に恥をかかせられないという意識が常にありました。いつも大人に気を使って思っていることを隠して優等生であるように注意していました(一方で、陰では同級生をいじめたりものを盗んだり、とっても悪い子でもありましたが)。それに対して、妻は親に隠し事ができず、なんでも素直に表現する子どもだった様子です。

空気を読めずになんでも思ったことをその場で云ったりやったりする若者が増えた一方で、のっぺらぼうのような表情しかできない子どもや、妙に大人びた態度や言葉使いの幼子が巷に溢れるようになりました。昔からいましたけど、今ほど極端ではなかった気がします。これは、社会環境やテレビや学校教育の影響などではなく、やはりその子たちを育てたご両親の影響なのではないかと感じています。さらに今の子どもたちが親になった時には、どんな子が育つのでしょう。褒められた時になりふり構わず騒ぎまくる子は難儀ですが、素直に「ありがとうございます」という笑顔ができる子たちであってほしいなと思います。

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タバコは禁煙だけど、アルコールは減らせばよい?

1日2杯のアルコール飲料摂取は心血管の健康に対し有害ではない

常日頃、「生活習慣病に関するデータは日本人のものでないと意味がない」と云い続けているわたしなのに、こういうデータはイギリスのはなしでも何か良いことはないかと、つい読んでしまうのであります。ここには2つのメガ解析の結果が紹介されています。

ひとつめは、アルコールを毎日2杯飲んでいる人たちがアルコール量を減らしても血圧に効果はなかったが、一日6杯以上飲んでいる連中は飲む量を半分に減らすだけで有意に改善した、というもの。だから、「大量飲酒者にとって、アルコール摂取量を1日2杯以下にすることが高血圧治療の第1選択となりうる」という結論のようです。

もうひとつは、アルコール摂取と血管硬化度の変化の関連を、25年以上の長期的観点からみた研究で、常習的大量飲酒の男性群と常時適正量飲酒の男性群を比較するとベースラインの頸動脈−大腿動脈間脈波伝播速度(PWV)の値が前者で有意に高値だったそうです。

今回の報告をまとめると、「1日2杯のワインやビールやカクテルをただ純粋に楽しむだけの人は何も有害なことをしていないという十分なエビデンスを得た」「大量飲酒している人は、より本格的なアルコール減量プログラムに取り組むべきだ」ということのようです。「英国民のうちアルコール摂取が1日2杯超である者の半数がアルコール摂取量を減らすと、収縮期血圧が140mmHg超である率が男性で4.4%、女性で1.2%低下し、その影響の大部分は中年期に現れる」・・・そうか、1日2杯までか、じゃあわたしはOKだ!と思った時に「あ、わたしは日本人だ」ということに気づいてちょっと萎れてしまいました。だから、気づかなかったことにしましょう。

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突然の利尿

最近、突然利尿がかかって何度もトイレに行かないと我慢できなくなる日があります。それはそれは異常です。トイレから帰ってきたばかりなのにもう行きたくなる。行きたくなるとすぐ我慢できなくなって、トイレで大量に放尿。それを何度も何度もくりかえす。

もともと過活動膀胱(子どもなら夜尿症のタイプ)の気はあると自覚しています。昨夜も就寝から1時間ごとに起こされるパターンの頻尿が襲ってきましたが、これはそのパターンとはちょっと違います。ここまでひどいことは過去に数回経験したことがある程度で、それもかなり若い頃でしたから、ちょっと面食らっています。

何かの病気かしら?と気にはなりますが、体調はすこぶる良い。睡眠不足感も倦怠感もない。特段多く水分を取ったというわけでもなく、前夜に深酒したというわけでもない。でも、そ発作は突然襲ってくるのです。云えることは、そういう時は、決まってみるみる痩せていくこと。じゃあ脱水なのか?と水分を多めに取ってみるけれど、どうもそういうものでもなさそうなのです。先日の職場健診の結果を見ると、腎機能も心機能も問題なさそうなのであまり気にしないようにはしています(スリムになるのでかえって嬉しかったりする)が、ただ、それがスポーツ観戦中だったりテレビドラマを見ている最中だったりするにで、とにかく落ち着いて見れないのが、辛い。

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心筋梗塞と遺伝因子

心筋梗塞を起こすのは遺伝か? 生活習慣か?

いつも切れ味の良い分析をされる慶応大学循環器内科の香坂俊先生のドクターズアイの今回のテーマは、心筋梗塞の発症に遺伝子(一塩基多型(SNP))がどの程度関与するのかということです。

心筋梗塞の発症に家族歴が関与するのは明らかですが、わたしはそれは動脈硬化になりやすい危険因子の部分が遺伝する(たとえば高血圧や糖尿病や脂質異常など)結果として、脳梗塞や心筋梗塞の家族発症や兄弟発症が起こりやすいのだと理解していました。たとえ親類縁者に糖尿病や高血圧のヒトがいなくても潜在的に引き継いでいる危険因子の家族歴があるに違いない、と。

ところが今回紹介されたN.Engl.J.Medの論文研究は心筋梗塞発症そのものに遺伝的因子が関与することを示したものでした。3件の大規模疫学研究のデータ〔Atherosclerosis Risk in Communities Study (ARIC)、Women's Genome Health Study、Malmo Diet and Cancer Study〕を統合し、SNPの1つ1つを個別に検証せず、各変異にそのリスクに応じた重み付けをして検討したものですが、「遺伝スコアが高いと低い人より90%リスクが上昇」し、これは「喫煙や糖尿病といった従来からの危険因子に匹敵する」そうです。もともと遺伝因子が高い人が理想的なすばらしい生活習慣(たばこ、体重、運動、食事)を行っても、遺伝因子の低い乱れた生活の人とほぼ同じリスクになるというデータ分析です。

もちろん、だからこそ、遺伝因子のある人は人一倍生活管理が必要なわけですし、「遺伝スコアがどうであれ、生活習慣の良い方が予後は良いということを示しているので、いずれにせよ禁煙、減量、運動、健全な食事などといったライフスタイルの改善は引き続き推していく必要がある」ということに変わりはないのですが、「血は争えない」ということの意味がよく理解できました。

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ストレスと大病(後)

(つづき)

職場環境が良くなって皆が長く働くようになった(自ずと年寄りが多くなった)とか、社会環境自体が腫瘍を増やす要因になっているとか、医療現場の専門医の意見はまことしやかにそんな感じなのかもしれないけれど、わたしの意見は違います。

最大の要因は、過剰なストレスと過剰な消毒に違いないと信じています。どちらも明らかに体内の免疫系を破壊し、普通の人よりも腫瘍や生活習慣病になり易いはずです。だから、もしもここで勤務することがなければ彼らはもしかしたらこんな病気には罹らなかったかもしれない。そう思うととてもココロが痛みます。でも、だからうちの職場環境が悪いと云いたいわけではありません。高度医療の高い水準を維持するためには毎日がストレスフルな日々であるのは致し方なく、これでも一時期に比べればワークライフバランスを重視する環境が整いつつある昨今です。消毒が自らの身体を蝕む(いわゆる経皮毒)のだとしても、だからといって衛生観念をいい加減にしていては感染予防は成立しません。如何ともしがたいジレンマの世界。唯一の対抗策は、あまり長く働かないことなのかもしれませんが、それは一番寂しい選択肢・・・診察中にそんなこと考えながら、ココロを痛めているわたしです。

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ストレスと大病(前)

今年の職場の健診期間がもう直ぐ終了します。若いスタッフからわたしよりはるかに先輩の方まで多くの優秀な人材の努力のおかげで、うちの職場はいつも全国でもトップクラスのレベルを維持させています。でも、あまり公言したくはないのですが、そんなスタッフの職員健診を担当しながら、ちょっと懸念していることがあります。実は、スタッフ(特に長年勤務している中堅クラス以上スタッフ)に大病を患ったことのある人がとても多くなっている気がするのです。特に悪性腫瘍や婦人科領域の腫瘍で治療を受けたスタッフが少なくありません。

毎年きちんと人間ドックレベルの職員健診を受けていたからこそ早期発見して根治することができたのでここに勤務していて良かった、と思う人もいるかもしれません。でも、ほんの10年前にはたまにしか発見されなかったのに最近は妙に多い気がする。看護スタッフが多い職場なので自ずと看護師さんなどの婦人科疾患の既往の多さに驚くわけですが、以前はこんなになかったんじゃないか?と感じるのはわたしだけでしょうか。 

(つづく)

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ヘパトカイン、セレノプロテインP

運動の効果が上がらないのは「運動抵抗性」のせい 原因ホルモンが判明

さてさて、またしても新しい概念が出てきましたよ。運動の効果を打ち消す「運動抵抗性」という病態、そして運動の効果を無効にするホルモンがみつかったから、これから運動の効果を増強する薬が開発できるのでは、と云う。

「運動をしていても効果を得られにくい原因のひとつは、肝臓ホルモン『ヘパトカイン』が骨格筋に作用し、運動の効果を無効する『運動抵抗性』が起きている」という金沢大学チーム。「ヘパト」は肝臓で「カイン」がホルモンだから、肝臓から分泌されるホルモン(”アディポカイン”が”脂肪から分泌されるホルモン”という意味なのと同類)というところまでは理解したわたし。そのヘパトカインのひとつである(というか多分一番メインの?)「セレノプロテインP」というやつが、運動抵抗性の正体だそうです。

で、どうなのよ。これが運動効率を下げることは分かった。で、これを低下させる方法はどんなことなのよ?「研究チームは今後、2型糖尿病などの身体活動低下に関連した疾患に対して、セレノプロテインPとその受容体を標的にした新しい運動効果増強薬の開発や、測定による運動効果の出やすさの診断などにつなげたいとしている」というのが、わたしを苛立たせるわけです。どうして薬を開発させようとするの? アディポネクチン作動薬と同じように、「これさえ開発させれば人間努力しなくても・・・」と、どうしてそうなるのよ?と思うわけです。

それでも、なんかちょっとウキウキします。アディポ(サイト)カインが出てきた頃と同様、ホルモン群のいろいろな新しい作用が発見されるのでしょうね。

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「お互いに」

午後からの人間ドックの結果説明の場で、3人の女性に続けて同じことを質問されました。

「わたしは毎晩お酒をたくさん飲むのですが、肝臓は大丈夫ですよね」

「・・・どうでしょうね。この結果では何とも云えませんね」
「でも、採血結果も正常だし、腹部エコー検査でも何も問題ないのでしょ?」
「わたしも休肝日を作る人間ではないから、あまり文句は云いませんけど、とても優秀な部下を持っているようなものですから、たとえ検査結果が良くても突然何が起きるかわかりませんもんね」
「・・・」
「少なくとも、自分の口から『肝臓は大丈夫ですか』というコトバが出てきたということは、自分のカラダの中から何かの警告を出し始めたと思った方がいいんじゃないですか」

3人めの女性とそんな会話をして、診察室を出る前に、「ま、この機会に少しセーヴすることを考えてみてはいかがですかね?」と云ったら、笑いながらこう答えられました。

「そうですね、お互いに」

・・・あっはっは。

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糖尿病と認知症

認知症リスクへの糖尿病・高血圧・脂質異常症の影響

糖尿病を有する患者さんは糖尿病に高血圧や脂質異常を伴っていてもいなくても認知症リスクに有意差はないけれど、糖尿病を有さない高血圧や脂質異常はそれがあるかないかで認知症リスクが明らかに異なる、というコホート研究が紹介されていました(台北医学大学Yen-Chun Fanら、Alzheimer's research & therapy誌2017年2月6日号)。「糖尿病発症に続く高血圧症や脂質異常症の発症は糖尿病発症の2次的なものでインスリン抵抗性を介在する可能性があり、認知症リスクをさらに高めることはない」「糖尿病自体(高血糖の全身的な影響)が認知症リスク増加の主な原因かもしれない」というもの。

ま、簡単に云えば、高血圧症の治療中で脂質異常を有するわたしは、糖尿病がないからといって楽観視できず、というかかなり高い確率で認知症になりやすいということですな。妻にしっかりと伝えておかなければなりますまい。

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トラウマのフラッシュバック

我が家の8歳半になる愛犬の様子が急におかしくなったのは、いつもの散歩コースの大好きな動物園の近くを通っていた時のことでした。突然、何かで鉄板を叩くような大きな音がして、その音に驚いて飛び跳ねた時からです。その後は、大好きだったあのコースの方向に行こうとするだけで断固拒否、強引に引っ張ろうとしようものなら頑なに地面にしがみついて抵抗します。

あの音は解体工事中の家屋から聞こえてきました。今、熊本では昨年の大地震で被害を受けた家屋の解体工事が本格的になっています。でも、この突き上げるような地鳴りのごとき大きな音は、そのままあの時の恐怖を呼び覚ますに十分でした。少なくとも我が家の愛犬は、あの時、大きな音と地鳴りの度に瓦が崩れ落ち家屋が崩れていく中で逃げ惑った恐怖心を脳裏に呼び戻させてしまったようです。いまや、解体工事の音だけでなく、小学校の体育館でバスケットボールをつく音や車がマンホールを踏む音にすらビクついて血相を変えるようになってしまいました。

そんな不憫な彼女を見るにつけ、今年の夏に復活を計画してるという熊本市の花火大会のことを思うと憂鬱です。花火会場が我が家のすぐ近くであるので我が家は特等席です。でも、今年もし復活するとしたら、わたしたちは早々に隣りの市まで逃げるしかないな、と話しています。愛犬が制御不可能になることは目に見えているからです。ただ、彼女の様子を見ていると、ことはうちのワンコの問題だけではない気がします。子どもたちの中にも同じようにあの花火の音を聞いた途端にフラッシュバックする子がたくさん居るのではないか、と懸念します。それを考えると、復興花火大会はもう少し先延ばしにしてもらえないものだろうか、というのが切実な想いです。

今日は、東日本大震災から6年めの記念日。節目の度に放映されるあの時の動画に今でも賛否両論ある、その本意・・・当事者にはきわめて深刻な問題だと云うことがやっとわかった気がしました。

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ほんとは怖い?

毎年人間ドックを受けに来られるアラフィフ男性。いつもほとんど問題ない健診結果だったのに、昨年は中性脂肪が1000近かったり血圧が150を超えていたり、さらに肝酵素も軒並み高値で、たくさんの精査指示が出たようです。でも、数ヶ月後の職場の健診ではほぼ正常に戻っていたとのことで専門医の受診はされませんでした。そして今年、各々の検査値は何もなかったかのように正常値に戻り、前々回とほぼ同じ。昨年だけがまるで別人のデータのようでした。こういう経過をたどる人は意外に少なくありません。

よほど人間ドックの直前に乱れた生活をしていたとか毎日が宴会だったとかいう明らかな原因があるのなら良いけれど、この男性のように昨年は何がそうさせたのか想像すらつかない場合・・・「まあ何はともあれ、今年は一昨年と同じレベルに回復して良かった」と喜んでもいいものでしょうか。何も意識せずして改善したということは、今でも時々、陰で昨年のようなトラブルを起こしている可能性が高いのではないか? 単にたまたまタイミング的に表に出ていないだけなのではないか? そんな懸念が払拭できません。せっかく体内の不調を表現したのに気づいてあげられないまま今後何かが悪化したとしたら、申し訳ない限りです。

こういう経過をたどった人は、元に戻ってラッキーと楽観視せず、何も心当たりがなくても自らの生活を今一度顧みることが必要なのではないかと思った次第です。

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ストレスの二重攻撃

「去年、先生に云われてタバコをやっとやめました。それなのに、今度は酒ですか? 」と先日ある男性受診者が大きなため息をつきました。だって、胃のびらんが例年より強いし、γGTPもいつになく高いのだからやむを得ないではないですか。

「無理ですよ。毎日のストレスを乗り越えるのに酒でも飲まんとやってられんのですよ」と彼は云うのですが、そんなことないと思いますよ。仕事のストレスを和らげるために飲む酒が、胃にとっては仕事のストレス+酒からのストレス・・・和らげてくれるどころか、二重攻撃に見舞われているわけですから、たまったものではありません。

アタマは癒されても、カラダは癒されないだけでなく、みるみるヘトヘトになっていっています。健診の検査値にこういう異常が出て悪化するということは、明らかにカラダのギブアップ宣言。かなりヤバイと思います(某小学校で「ヤバイ」を使用禁止にしたのが話題になっていましたが、この使い方は正解のはず)。何とかアタマの洗脳を振り切って、正気に戻ってほしい、と心から祈りました。よほどわたしが必死の形相をしていたのか、「考えておきます」と最後は彼も苦笑いしながら診察室を出ていきました。

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まめ太郎2016総括

今年の健康増進プログラムの3か月間が満了になりました。

想定していたほどの減量効果は得られませんでした。ちょっと落胆してはいますが、まあ去年と一昨年が異常だっただけだと思います。腰回りのシャープさが戻りませんでしたが体力が落ちた感じはしませんし、元気さ加減も良好です。

総括として、今までと何が違うのかなと考えてみました。先月中間報告したように、たしかに代謝が落ちたのかもしれないけれど、そんなに急には変わるものでもありますまい。ちょっとストイックさに欠けたところはあります。過去二回のようなお祭り騒ぎ的取り組み方をしなかった。3か月間の期間限定トライアルとして特別に意識しなかったわけではないけれど、あまり「頑張った」という実感はない。活動量は十分だった(そういえば愛犬の散歩を優先させたがために職場のフィットネスジムを一度も利用しなかったことは反省点。でも、自宅での筋トレは特に期間前半にはかなり頑張ったと自負)けれど、飲み食いの意識は緩かったかもしれない。「ここで食べずに我慢しよう」などと思う機会はほとんどなかった。でも逆に、さほどの羽目の外した食べ方もしていないはず。

おそらく、いい歳になり、動くも食べるも自分なりの在るべき位置にカラダが勝手に導いてくれていて、改めて修正しないといけないほどのズレがなくなっているのではないか。今の生活リズムと今の飲み食いのバランスが、今の自分には一番適しているから、さほど減らなかったけれど増えもしなかった最大の理由ではないか。・・・という考察で、今回の実験の総括といたします。

ご清聴、ありがとうございました。

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宝くじ

『宝くじで高額当選したら、あなたは医者を続けますか?』

という超ベタな質問が某医療系メルマガに載っていました。皆さんがどんな答を投稿したのかは読んでいないので存じませんが、自分ならどうするだろうか?と、超ベタに考えてみました。

わたしなら、絶対に仕事を続けるだろうと思います。生活費のことを考えなくていいから、今まで以上に好きなように予防医療に取り組むだろうと思います。別に医者を天職だとは思いませんからギラギラした目になることはないでしょうが、でもマジメに取り組むと思います。その金を元手に、理想の組織を作るための経営を考えたり、あるいは今後のために投資や権利収入が入るものを手に入れたりしたいという気は毛頭ありません。そんなことする時間があったら、仕事をしていたい。

わたしは、そういう人間です。

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痛み

人間のカラダってスゴイなと思うのです。

わたしの頸椎症も長い付き合いになってきました。夜、床に就く度に神経の痛みに苛まれるわけですが、ついさっきまで気持ちよく熟睡していたことを想いながら、「痛みって気にならなくなれるものなんだな」と実感。むかしは、この何とも云えない神経の痛みで何度も起き上がったものです。痛み止めを飲んでも大して効かず、結局睡眠不足になりながら悪循環してました。痛いのは相変わらず痛いですし、床に就いても痛いのですが、でも眠れます。朝起きたら、すっかり痛みも取れています。

何でも「原因を取り除かないと解決しない」と思いがちですが、痛みに関しては痛くさえなくなればカラダ全体のリズムが良くなるもの。そこに痛みの原因が存在していて実際に痛み物質が出ていても、それに気づきさえしなければ、あるいはそれを気にさえしなければ、痛みを苦痛と感じなくなる・・・これは人間という動物の特性なのでしょうか。

ということで、「この肩の痛みじゃ無理だな」と思い込んでいたゴルフに今から行ってきます。全然気になりません。

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リンゴ/ゲノム/メタボ

「リンゴ型肥満」はやはり怖い ゲノム検査で内臓脂肪のリスクを予測

「リンゴ型肥満は体の老化を早めることも分かりました。体重をはかるとともに、ウェストサイズもはかり、体の脂肪の付き方をチェックすることが重要ですが、心配な人は健康診査を毎年受けて、体の状態を知っておくことが必要です」

と結論づけているこのアメリカの研究報告は、何が新しいのかよく分かりません。「メタボを予防するために、日本人はメジャーでお腹なんか測ってとっても異様な風景である」と、日本のメタボ健診が始まった頃に冷ややかな目で揶揄(やゆ)していた彼らが、「実は重要なことだった」と感じたけれど、言い出しにくかったからゲノムの遺伝子ネタを絡めて公表しただけ。まさかそんなことはないですよね?

もっとも、先日読んだ奥田昌子先生の本によると、「欧米人は皮下脂肪が発達しているから余ったエネルギーは皮下脂肪にまず貯める」らしいから、日本人のようなリンゴ型のお腹(内臓脂肪蓄積)の人の割合が少なくて最初はピンとこなかった、ということなのかもね・・・・と書いてはみたけれど、ビア樽のようにでっかいお腹のオジサンは、昔から欧米の方がたくさんいた気がしますが・・・。

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睡眠薬と糖尿病

NHK「ガッテン!」に睡眠学会が反論 糖尿病治療に使うのは適応外

残念ながら番組そのものを見なかったのですが、ちまたで一気に話題になったトラブル。某睡眠薬を使用すると血糖が改善して糖尿病の治療や予防に有効である、という内容になったことに対して、日本睡眠学会が反論を出して、NHKが慌てて謝罪したらしいですね。天下のNHK、しかも健康志向の人でなくてもファンの多い『ガッテン!』の内容となると、さすがに軽率すぎた大チョンボではあります。

もっとも、昔の民放某健康番組のような”データねつ造”とは違いますから、云っていることは正しいのでしょう。簡単に云えば、睡眠の質が生活習慣病を克服する大きな要素・・・今や、糖尿病も高血圧もメタボもうつもがんも、みんな睡眠で語れる時代になっているのだということを説明しているのだと思います。短絡的に「この睡眠薬を飲めば糖尿病が治る」「糖尿病の治療のために睡眠薬を処方してもらえる」と誤解されたり、睡眠薬は糖尿病治療の保険適応がないのに外来で要求される危険性があるなどと騒ぎ立てているところに、ちょっと閉口してしまうわたしです。糖尿病や高血圧の患者さんは睡眠障害の人が多いから処方を受けている人も多いでしょう。でも、処方する医者がいい加減なヤツでなければ問題ないと思います。逆に、番組で取り上げるほどの効能が「眠る」という行為にはあるのだから睡眠薬を服用することに躊躇しない方がいい、という論点もあり得る気もします。

最近の健康番組は、ちょっと表現の仕方が無頓着で、興味を引きそうなフレーズを台本に書いたり、何も吟味していない司会者の思いつき発言を自由にさせたりしている感があって、危険ではあります(NHKはその点、何度もリハーサルをするはずなのに)。ちょうど、政治家さんが何も考えずに思いつきで発現して大バッシングを受けるのに似ています。だから、見ている人もそんなつもりでほどほどの受け止め方をしておかないと、後で無意味に不安にさせられたりしますよ。

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写真

Iphoneになってからとにかくカメラ小僧になったわたしは、ことある事に(あってもなくても)とりあえず写真を撮って回りました。昨年iphoneに替えた妻も写真がたくさん。

昨夜、ふとそんな写真を各々でロールバック(こういうのはロールバックとは云わない?)してみました。お互い自撮り写真を眺めながら「この頃から太り始めた」だの「この頃に比べれば今はやせた」だの・・・そのうち季節は変わりゆき、台風の天気図やら愛犬の笑った顔やら。そこで義母の愛犬のカラーとシーネの写真。そうそうこいつ階段から転げ落ちて骨折したんだ。昨年4月末のわたしの誕生日の写真、避難所に居た子どもたちが折ってくれた風車の折り紙、そして・・・延々と続く荒れ果てて飛び散った家財の写真群、「本当に1回目と2回目は全然別物だったんだね」と二人でタメ息。

そしてその一つ前にはレンゲ畑と夕日の写真、家の庭に咲き誇るハナミズキの花・・・この写真の日付が全部、2016年4月14日の夕方。散歩中の写真でした。「この時、その数時間後にあんなことが起きるなんて、思いもしなかったよね」と再びタメ息。

「レンゲの花の咲き揃う、ピンク色の田んぼ。だが、百姓の一年は、決してピンク色などでは、ない。甘えてはいかん、早速牛を使って田んぼを耕す」・・・何故だか、急に、大学演劇部時代のO氏の台詞が口から出てきたりなんぞ・・・早く、今年もレンゲの咲きそろう季節が帰って来ないかな。

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日本人は別物?(後)

(つづき)

ちょっと目からウロコの面白さでしょ(笑)

それを考えると、『日本人は炭水化物を控えてはいけない』という理論が何となく理解できるようになります。「炭水化物が栄養源になる腸内細菌が日本人には多い」というはなしは先日紹介しましたが、それとは全然違う角度から攻められてきます。日本人はインスリン分泌が少ない。それでも炭水化物の摂取が多ければブドウ糖を必要なだけ細胞に取り込むことができるのだけれど、炭水化物の摂取が減ると少ないインスリンではブドウ糖を十分確保できず、膵臓がそれでもインスリン分泌を高めようと頑張り、次第に疲弊して機能低下を来してインスリンを作る細胞が枯渇して糖尿病になっていく、という理屈です。だから、日本人の糖尿病の予防のポイントは、内臓脂肪を減らすこと+炭水化物を十分摂ることなのだと。現代の趨勢のみごとなアンチテーゼ。

内臓脂肪と云えば、これも日本人などのアジア人の特徴なのだそうです。欧米白人は皮下脂肪が多いのだそうです。欧米人は伝統的に大量の脂肪を摂取するので蓄積するキャパが広い皮下脂肪に蓄えます。でもアジア人は皮下脂肪を溜める能力がもともと低く、そのために余ったエネルギーはやむを得ず内臓脂肪に溜めるようになりました。ここに日本人特有の体質があるわけです。ちなみに、女性は女性ホルモン(エストロゲン)が内臓脂肪を分解して皮下脂肪に変化させる機能を有するのだそうです。だから閉経までは皮下脂肪が多く、閉経後に一気に内臓脂肪が増えていくことになるわけです。

その他にも、日本人には飽和脂肪酸も大事とか、食塩感受性は環境因子で変動するとか、日本人はもともとHDLコレステロールが多くて、食の欧米化が起きてもその傾向はあまり変わらないとか・・・これ以上は、実際に買って読んでくださいませ。

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