判定のジレンマ
健診や人間ドックの判定は、ふつう軽い方から、「異常なし」「軽度異常」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」および「治療継続」に分けられます。どの健診機関や自治体でも各検査ごとにこういう区分けをして、そのうち、「要精密検査」と「要治療」に該当する項目に紹介状(診療情報提供書)を発行して専門医の受診勧奨を行なっています。
日本のこの伝統的な縦割り判定システムが時としてとても悩ましいことがあります。例えば、血圧が軽度高血圧の判定(要経過観察)の男性に腹部エコー検査をしたら直径35ミリ大の軽度腹部動脈瘤を認めたとしましょう。自覚症状もないこの程度の大きさの大動脈拡大であれば、一般的には「経過観察」となると思われます。でも、本当はきちんと血圧管理をして必要ならしっかりと内服薬の処方も受けながらの管理をしてほしい。要するに、「経過観察」をするのは誰か?と云えば、循環器内科の外来医師であってほしいと思うわけです。でも、どっちの項目に対しても紹介状は出しにくいし、出したところで外来医師の返事はおそらく「1年後の健診でフォロー」という指示になるに決まっています。お互いに「経過観察」という作業を押し付けあっている感じ。そして当事者はまあ大したことないんだなとばかりに、大した血圧管理もしないまま1年過ごすのでしょう。
そんなことが想像できるから、せめて結果説明の時には血圧管理の重要性を厳しく話したいところなのですが・・・こういう人に限って結果を聞かずにさっさと帰ってしまうわけです。
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