肥満とがん
Care Netで2017.3.13に配信された英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの研究報告の概要を読みました。多くのメタ解析の論文を包括的に検討したものだそうです。それによると、BMI(肥満度)の増加に従ってリスクが上昇するがんは食道がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系および膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫であり、体重増加およびウエスト-ヒップ比が発症リスクの上昇と関連したがんは、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんおよび子宮内膜がんだけだった、とのこと。
肥満ががん発症に関連することは以前から認められていることではあるのですが、欧米人にありがちな遺伝的超肥満の皆さんは別にして、日本人の多くが直面する生活習慣に関連した肥満が、直接がん発症の引き金になるのかどうか、この部分の解釈が難しいのです。太ったからがんになったのか、それとも太るような食生活や日常生活パターンの乱れががんを引き起こしたのか? あるいはどんな手段を使ってでもやせさえすれば、がんのリスクは本当に減少するのか? そこを評価するのは至難の業だと云う気がします。それでなくても健康のためなら何にでも取り組む健康宗教信者の多い日本人は、特に太ってもいないのにもっとやせようとして本末転倒になる人がたくさん出てきているのだけれど、彼らはさらに、「だって太るとがんになるんでしょ」と云いそうで怖い。
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