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恩師のこと

日野原先生の『今日すべきことを精一杯!』(新書の書き下ろしだと思ったら1990年のモノを新書版として改めて作り替えたモノでした)を読んでいるうちに、わたしを今の職場に呼んでくれた恩師のことや若かりし日の自分のことなどを思い出しました。

「毎朝8時から9時までの臨床カンファレンスを始めました」か。そうそう、わたしたちも毎朝7時から8時半までカンファレンスとか検討会とか抄読会とかやってました(きっと今でも続けられているのでしょう)。「始業時間になったらみんなそれぞれの仕事に散ってしまって二度と会えないから、皆が揃えるのは朝だけだ」と云うのが理由でした。ボスはその1時間前に庭の畑の手入れをしてから出勤してました。高次救急病院の忙しさの中で毎年日本循環器学会には1人最低でも2題は応募するように義務づけられ、忙しい業務の合間を縫って、大量のカルテを見直したりシネフィルムを見直したりしていました。大学や研究所の様に動物実験をするのではなく、日常臨床で蓄積された莫大なデータの中からテーマを見つけるのですが、想定した通りの有意差がでて喜んでいると、「キミはそんなに喜んでいるけれど、その結果は患者さんにとって何の意義があるの? キミの自己満足じゃないの?」とよく突っ込まれたりしていました。「研究のための研究には意味がなく、自分の研究成果が患者さんにとって何らかのメリットをもたらす様なテーマをいつも意識して診療にあたりなさい」「治療や検査などの日常診療に忙殺されてしまうと医者としてまったく発展できない。忙しさの中に常にアカデミックな志を失わないように」が口癖のボスでした。

日野原先生の半生を読みながら、恩師である職場の元ボスH先生のことに想いが馳せたことを考えると、おそらくわたしが日野原先生の考え方に似てきているのは、わたしが若いときにH先生に出会い、その生き方に感化されて医者人生を送ってきた礎があったからに違いないと思うに至りました。H先生に改めて感謝。初心を思い起こさせてくれた日野原先生に感謝。まあ、医者としてのボスの教えをそれからも守ってやってきたけれど・・・勉強はしなくなったなあ。ボスに会ったらゲンコツ食らわされるかもしれません(笑)

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