安全と安心(前)
東京都の豊洲新市場移転における土壌汚染の問題で、専門者会議が「きちんと遮断できれば安全性は問題ない。あとは安心が確保できるかという問題だけで、これについては行政が担うべき」という見解を出した、というのがニュースに出ていました。
まさしく云い得て妙の実態なのでしょう。もともとその土地の土壌汚染が甚大であることはわかっていること。だからいかに施設に影響を与えないかを検討して解決できる施設を建設することが前提だったはなし。まあそれがいつの間にか経費削減云々でやるべき処置を取らないままのがらんどうの地下を建設したことに問題がある。その通りなんです。
でも、もはやそうはいかない。たとえ建物を全部改修して当初の計画通りの施設ができたとして、それにどれだけの専門家が安全宣言をしたとしても、そんな汚いところの上に食べるものを扱う施設を作って本当に大丈夫なのか? これまで騙してばかりいた行政の云っていることを本当に信用できるのか? 食品の安全が担保できてもじゃあそこで働く人たちは犠牲にならないのか? 最初からわかっていた実態を住民の全てに知らしめした今となっては、「安心」という単語を獲得するのはもはや不可能だろうという気がします。それでもなんとかしなければならない。文句を云い広げた議員さんや学者さん方は、単に批判をして責任者をあぶり出すこと、ひいては次の選挙でひっくり返す材料にすることしか考えていないから、「じゃあどうしたらいいのか?」という得策を考える気はない。それは都知事が考えることでしょう、となるのでしょうか。
(つづく)
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