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医者の仕事と保健師の仕事

これまでも、何度もわたしを悩ませてきた予防医療の考え方の違い。医師の人数が少ないのに業務が増えるばかりだからパラメディカルスタッフと業務分担することを検討するに至り、期せずして再び生じてきた根本的な違いにひとり悩んでいます。

健診の世界では、全ての検査結果の判定を7段階に分けます。①異常なし、②軽度異常、③要経過観察、④要再検、⑤要精密検査、⑥要治療、⑦治療継続です。

わたしは、この世界に入った時から一貫して思ってきたのです。『②③の説明こそが保健師の仕事でしょ』という考えは、大きな間違いだと。これこそが一番高給取りの医者がすべき仕事だと思うのです。なぜなら、これが一番骨の折れる仕事だから。行動変容というやつは、一筋縄ではいかないけれど、予防医療の世界では何よりも大事なことであり、行動変容をさせることこそが最大の仕事だからです。

一方、『⑤⑥の説明は医者の仕事』というのも間違いだと思っています。もう悪いとわかっている項目について病院に受診させるだけの仕事なんて、誰にでもできる。高給取りの医者がこんなことのために時間を費やすのは本当にもったいないと思います。「いやいや、病気のことだから専門知識が必要だから」って? 何云ってるんですか。そんなことその都度勉強すればどうということはない。もともとそれなりの医療知識を持って専門職についているのだから。

軽いものは保健師の仕事、重いものは医者の仕事とい発想は、まさしく、『二次予防、三次予防こそが予防だ』というひと時代前の検診の発想であって、そんな発想がいまだに通用していること自体が情けなくてたまりません。

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