脂肪肝のもたらすもの
ここに来て日経メディカルが脂肪肝の記事をまとめて出しています。
要するに、ウイルス肝炎でもなく、アルコール性でもない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)に将来肝硬変や肝臓がんを誘発するものがあって近年一気に増加してきているというのに、当の本人だけでなく一般臨床現場の医師も甘く見すぎているという警鐘です。メタボや糖尿病では必須のアイテム『脂肪肝』は、本当は危険なのにすぐに慣れてしまう特徴があります。ウイルス性肝障害やアルコール性肝障害はターゲットがはっきりしているのでまだやる気を起こさせられますが、主犯が食べすぎ・飲み過ぎ・運動不足の非アルコール性脂肪性肝疾患は数多の共犯者だらけなのですぐに逃げ腰になりますし、糖尿病などがあれば完全なる言い訳になります。痛くも痒くもないからちゃっかり共存してしまう存在。ところが、非アルコール性脂肪肝の1割が10年後には肝硬変になり、その中から肝臓がんが生じるということは数年前にはすでに医療現場の常識なっていたはずです。脂肪肝はかなり進行しないと肝酵素の値が上昇しませんし、重篤な肝硬変などになるとかえって酵素の値は低下してしまったりします。
幸い、人間ドックでは必ず腹部超音波検査がありますから、脂肪肝の有無は簡単にみつけられます。腎臓の色と比べて差がないのが本来の肝臓の姿ですが、脂肪肝になると余ったエネルギーを脂肪細胞にして肝細胞内に詰め込んだ”フォアグラ"状態を作るので白く変化します。ぜひ、自分の検査結果を確認してください。なにしろこれは、腹を空かした挙句にさらに食えなかったときにやむを得ず使う最後の砦の貯蔵庫ですから、自分をいじめてやらない限り絶対に出ていきません。ちょっとくらい痩せても減りません。
これからも、結果説明をするときにとことん嫌味を云って、その気にさせるように頑張ろうと誓いました。
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