紫の光と近視の関係
第17回日本抗加齢医学会総会の理事長提言で慶応大学の坪田一男先生が話された『光環境とアンチエイジング医学』の中で、やはり一番ショッキングだったのは『バイオレットライトと近視』の話でした。『ブルーライトとサーカディアンリズム障害・生活習慣病の悪化』についてはもはやわたしの中では常識中の常識なのですが、「光の中から紫色が消えると近視になる」ということも「窓を閉めた瞬間、紫色がカットされる」ということも初耳でした。
近視になるのは眼球の長径が長くなって焦点を網膜上に合わせられなくなるためですが、紫色の光がその眼球が長くなるを抑制する効果があるのだそうです。だからバイオレットライトを目に浴びると近視になりにくい、近視を進行させにくいというわけです。ところがこの紫色の光、窓ガラスでカットされてしまう。窓を開ければ室内でも存在しているのに、窓を閉めた瞬間に消えてしまうのです。
今、世界的に近視が急速に増えています。それはなぜか。子どもたちが外で遊ばなくなったから。窓を閉め切って家の中で遊ぶから。「一日に2時間外で遊べば、近視にはならないのです。あるいは窓を開ければいいのです」と坪田先生が強調されました。でも、大気は汚れまくり、外で遊ぶと変な輩に連れ去られる危険性もあり、今や子どもを一人で外に出すこと自体がナンセンスだと云われる時代です。子どもが外で遊べない環境にあるのです。むかし、わたしたちが子どもだったころ、目が良いのは勉強もせずに本も読まずにバカみたいに遊んでばかりいるからだ、と親に叱られたものですが、理由はそうではなかった。
さらに、バイオレットライトは窓ガラスだけではなくて、めがねのレンズ越しでもカットされてしまう。コンタクト・レンズも一部を除いてカットされてしまうそうです。だから、『めがねをかけると近視が進む』なんてナンセンスな俗説だと患者さんの訴えを一笑に付していましたが、実は大正解だったようなのです。・・・そうか、そうだったのか。
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