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常識だと勘違い(1)

わたしが予防医療の世界に入ってきた16年前、目に入るものがことごとく新しい内容で新鮮でした。臨床をやっていた頃には知らなかったことがてんこ盛りで、健康講演などで話すネタに事欠きませんでした。なにしろ、自分が驚いて「すごいでしょ!」というトーンで話していましたから、講演するのが楽しくてしょうがなかった。ところが、最近、あまり心が躍りません。「へえ」と思うことは都度都度にあるのですが、情報を一、二度見てしまうと、もうその時点でその情報は世間でも常識になっていることだと思い込んでしまうのです。テレビなどでやっているのをみると、もうこれは世間一般の皆さんが知っている内容だから、「どうです、すごいでしょ?」とかいう上から目線で話していると、「そんなこと、知っとるわい」と苦笑いされるのではないかという恐怖心に襲われます。だから、あまり講演をするのが楽しくなくて、できるだけお断りするようになってしまいました。

今回日経メディカル2017.7月号に掲載されていた項目の『運動後急性腎障害の陰に低乳酸血症』とか『中高生に広がる「スマホ睡眠障害」』とかをさらっと眺めながら、どれも知っていることばかりだから真新しくないな、と読み流しかけていたわけですが、『腎性低尿酸血症診療ガイドライン』の記事の中に、「ガイドラインを出すまでは、医者の間でもこのような疾患があることすら知られていなかった」と書かれていて、ハタと気がつきました。わたしたちは専門領域の最先端医療のことはあまり知らないけれど、予防医学の情報は最初のマニアックな時期から耳に届き、目に飛び込んできています。自分にとって常識でも、世間が常識として認識するためにはかなりの年月と啓蒙活動が必要であることを意識して、「今ごろそんなこと偉そうに云ってるんですか?」と馬鹿にされるまでは偉そうに云い続けることこそがわたしたちの使命だと再認識させられました。

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