常識だと勘違い(2)腎性低尿酸血症(前)
ということであらためて簡単にご紹介します。
今年の4月に世界で初めて『腎性低尿酸血症診療ガイドライン』というのが作成されました。ここでも一度紹介したことがあります。
尿酸が血中に多いと痛風になるとか動脈硬化が進むとかで皆が知っていますが、方や低い方はせいぜい尿管結石を引き起こしやすいことくらいしか気にするものがないから医療者でも問題視していませんでした。ところが、運動後に急性腎障害を起こす原因のひとつに血中尿酸値が低い『腎性低尿酸血症』があることが分かってきたのです。尿酸は抗酸化物質なので、運動で発生した活性酸素などを中和する作用を備えています。それが少ないと腎血管の収縮が強くなって血流低下(虚血)が生じるのだと説明されています。
わたしはプロスポーツ選手並の強烈な運動をしない限り大丈夫だと思っていましたが、短距離走やサッカー、自転車競技などの比較的短時間に強い無酸素運動をした後1~48時間程度で背部痛や吐き気をひき起こすそうで、意外に一般の運動好き人間たちも罹患しているかも知れません。尿量は減らず色も赤くないし、採血検査をしてもあまり激しい筋破壊所見がないのが特徴というのは知っていましたが、非ステロイド性消炎剤(NSAIDs)服用後の運動で起きやすいというのは初めて知りました。基本的に運動大好き人間は常にあちこち傷めていますから、消炎鎮痛剤の常用をしている人は少なくないでしょう。 (つづく)
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 男は炭水化物、女は脂肪!(2023.11.30)
- 『かるしお』(2023.11.28)
- アルコール濃度(2023.11.27)
- 高齢ドライバー(2023.11.23)
コメント