無駄な検査~糖負荷試験
人間ドックのメニューの中に75グラム糖負荷試験があります。空腹時の血糖採血やヘモグロビンA1cなどでは異常がないのに、インスリンの出方が一歩遅く(インスリン初期分泌不全)て食べた後だけ血糖が上昇する『食後高血糖(耐糖能異常)』を呈するヒトが日本人にはたくさん隠れています。いわゆる糖尿病予備群というやつで、「この時期に動脈硬化が一気に加速度を増すので、この時期から生活習慣病の改善に心がけましょう」ということで行われている検査です。検査は75グラムのブドウ糖を飲用して、その1時間後と2時間後に採血検査をするだけです。
この検査、糖代謝異常(インスリン反応の異常)の体質があるかどうかを調べる検査であって、その時点での糖尿病の程度を確認する検査ではありません。以前も書いたことがありますが、日々精進した成果を糖負荷検査で確認しようとする人(「これだけがんばっているのにどうして正常にならないのか」と悩む人)がいますが、それはこの検査ではわかりません。前回検査したときに正常だった人は、歳を取ってから表に出るかもしれないから何年かに1回は受けても意義がありますが、一旦糖代謝異常の確認ができた人にとっては、その後何度受けてももはや何の意味もありません。お金を払って受ける権利があるから断ることなく行っていますけれど、あんな甘いジュースを無理矢理飲まされた挙げ句に2回も針を刺されて痛い思いをさせられる分、損だと思います。人間ドックのメニュー、イヤだったら受けなくても良いんですよ(企業からの必須指示でない限り)・・・お金は戻りませんけれど。
日常生活をする上で、自分の生活療法がうまくいっているかを確認するなら、通常の生活をした上での食後2時間血糖をヘモグロビンA1cと一緒に外来で測定してもらうことだと思います。
最近のコメント