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へふれふ、へふぺふ

先週末に大阪で行われた第65回日本心臓病学会学術総会に参加してきました。循環器救急の現場から離れて15年以上が経ち、小さな研究会や画像系の学会を除けばこの領域の学会に参加させていただくのは本当に久しぶりでした。

で、今回の学会で初めて知った単語。「ヘフレフ」と「ヘフペフ」。事もあろうに、今の仕事では絶対にお目にかかれないであろう『心不全』のシンポジウムになんとなく引っ張られるようにして入ってしまったら、最初からこの単語。「なんとも滑舌の悪い医者だこと」と思うたら、これが正式な発音なんですってさ。しかもそんなこと常識らしい。さっそくこっそりスマホで検索。

欧州心臓病学会(ESC) が作成した「急性及び慢性心不全の診断と治療ガイドライン2016」の改訂版では、従来から大きく二分されていた左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(heart failure with reduced EF:HFrEFヘフレフ)とLVEFが保持された心不全(heart failure with preserved EF:HFpEFヘフペフ)との間に、LVEFが「mid-range」の心不全(heart failure with mid-rangeEF:HFmrEFミッドレンジ)が新たに加わった”(「心不全の薬物治療の最前線」から)

さーて、ちんぷんかんぷんだぞ。その「従来から二分されていた」というのが、ヘフレフとヘフペフのようである。「ヘフレフ」が左室収縮力低下にともなう心不全で、「へふぺふ」が左室拡張機能障害による心不全(左室収縮力の低下がない )なんだと? わたしの知っている心不全の概念は、「心不全はまず拡張不全から始まって進行すると収縮不全になる。だから初期の段階ではなかなか見つけられない」というものだったのに、いつの間にかこの2つは別の概念であるということになっている。どうも2011年あたりからそうなったみたいですが、これはほとんどカルチャーショック的衝撃。昔の理論で作ったスライドで偉そうにレクチャーしていたのが恥ずかしい。やっぱり、数年に一度はトレンドの学会には出ておかないと、浦島太郎というか化石扱いになってしまうな、と痛感しました。

ちなみに学会で仕入れたヘフペフの知識メモ。ヘフペフでは心エコー上、左室長軸方向の収縮力が低下する所見が確認され、因子として糖尿病、高血圧、肥満が関与している。また、年齢とともに低下して特に高齢女性は注意を要する、だそうな。

 

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