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症状ないから?

人間ドックや健診結果から『要精査』『要治療』の判定をして診療情報書を送るのに受診しない人の言い訳の双璧は、相変わらず「忙しかったから」と「症状がないから」です。どちらも似たような理由づけなのですが、先日受診者本人から書面が送られてきました。

「健診結果の値が悪くて紹介状が出されていることは十分承知していますが、毎年同様の異常が指摘されているにもかかわらず全く体調は良好で、特別な症状もなく、わたしは『自分は病気ではない』と考えております。体調に何らかの変化があれば受診も考えますが、現時点で医療機関受診の意思はありません。どうぞわたしの意向をご理解ください」

いろいろ云いたいことはありますが、丁寧に健診機関に返事を書かれたことに敬意を表したいと思います。特に自分の希望で受ける人間ドックと違って、企業健診として自分の意思とは関わりなく受けさせられている人にとってはこういう想いの人は多いのではないでしょうか。

「どうもないから問題ない」の理論は予防医療の世界では論外であり(「まだ病気ではない」は正しいけれど「問題ない」かどうかはわからない)、わたしの専門領域である心臓や血圧の問題から出てくる症状はおそらく『突然死』とか『突然倒れる』とかいう類だと思われるのですが、本当にその程度の覚悟は持っているのだろうか、という思いはあります。個人事業者や国民保険の個人受診者の皆さんには、その危険性さえきちんと伝えておけば、その後の受診の有無は自己責任だと思うのですが、くだんの受診者のような企業健診の場合は管理者(会社)に責任があるので「受診してもしなくても本人の勝手」というわけにはいかないのです。本意ではないかもしれないけれど、会社で働いている限りは受診するまでずっと受診干渉せざるを得ない、というのが、わたしたちアウトソーシングを引き受けている施設の立場なのです。借金の取り立て屋みたいで申し訳ないのですが、そこのところをご理解くださいませ。

 

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