低体温
「体温が35度くらいしかないんです。どうやったら、体温を上げられますか?」
先日、健康相談に来た70代の女性の相談はそんな内容でした。
「何か体調でもわるいんですか?」
「いいえ、とても元気です」
「なのに、今の体温が不満ですか?」
そう聞いたら、「こないだテレビでやってたでしょ。『体温が低いと免疫力が落ちてがんになりやすい』って。体温が1度下がるだけで免疫力が〇%落ちるって云ってたのを聞いて怖くなって。テレビでいっていたとおりに運動したり生姜を食べたりしたけど、体温が上がらないんです。あと、どんなことしたら体温が上がりますか?」と切々と語られました。
困ったもんです。テレビの健康番組で云っている理屈は正しい。でも、こうやって必要もなく悩む人がたくさん出てきているであろうことをもうちょっと配慮して番組を作ってほしいです。ターゲットになっている主体は最近の若者でしょう。空調管理や食事のバランスの悪さ、あるいは運動不足などで自律神経がちゃんと働けなくなっている若者たちの平温は、たしかに低いと思います。彼らはもう少し代謝を上げてやらないとがんだけでなく簡単に感染症になったりしますから、代謝を上げるための生活の注意はしっかりすべきでしょう。高齢者もまた動くのが億劫になって家に引きこもり、筋肉が落ちてきてロコモやサルコペニアの問題に派生する可能性もありますから、代謝を上げる努力はするに越したことはありません。
ただ、日頃からそんなこと普通にやっている人たち(こんな人たちの方がかえって健康に気を配るのでこういう番組を見るのでしょうが)がさらに気をつけても上がらない体温は、上がらなくて正解なのだと思います。このカラダにはこの体温でいいとカラダが判断しているから上がらないのに、「がんばっても体温が上がらないので自分はがんになりやすいのではないか」と悲観させてしまうなんて、なんか悲しい限りです。
みなさん、くれぐれも、『健康』に押し潰されません様に。
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