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幸せのものづくり

今年も日本ポジティブサイコロジー医学会学術集会に行ってきました。昨年の京都の大会は前日に山陰で大きな地震が起きたために参加を断念しましたから、2年ぶりの参加になりました。とても小さなマニアックな学会ですが、それでもわたしは自分が参加する学会のうちでこれが一番好きです。やっぱり、もともと精神科医になりたくて医者になった人間だものな、と思います。

関西福祉学大学島井哲志先生の教育講演で印象に残ったのは「日本人は高齢になるほど『幸福感』は上昇する。『人生の意義を探す』ことが日本人では幸福感を高めている」という話。

わたしのこころを一番動かしたのが大会長の慶應義塾大学の前野隆司先生の会長講演『幸せとポジティブサイコロジー』でした。思わず彼の著書『幸せのメカニズム』(講談社現代新書)をその場でamazonに注文してしまいました。『幸福学』という分野の奥の深さを身に染みて感じ、『健康=幸せ(Well-being)である』ということだから、これこそ今のわたしの仕事に直結する話であると分かりました。幸せを充たす4つの因子:やってみよう因子(自己実現と成長)、ありがとう因子(つながりと感謝)、なんとかなるさ因子(前向きと楽観)、ありのままに因子(人の目を気にしない独立と自分らしさ)を充たすことのできるサービス作りこそが、人を幸せにするものづくり・まちづくり・組織づくりにつながる、というコトバがとても印象に残りました。「この4つを充たすものを作れれば必ず幸せになれる」という。そして、ものづくりをするヒトは使う人を幸せにしたいと思って作るからこそ、この4つの因子に叶うものを考えようとする。

うちの職場で新しいサービスを考えるときに、必ずこの4因子を考えるべきであることを知ったことが最大の収穫。わたしが前野先生の話を聞きながら最初に思い出したのは、夏に訪問した大分県国見町の街づくり。分かるヒトにしか分からないかもしれないけれど、まさしくあの街は、「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなるさ」「ありのままに」のすべてを満たしている人たちの集まりです。彼らのことを考えるとまさしくその通りだなと思うとともに、自分たちにも必ずできる!と思った次第です。

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