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プラトー

住民の皆さんに行う健康講演でも、専門職向けに行う講義でも、かぶりつきの席に座ってひとつひとつ頷いてくれているのはおそらく保健師さんか栄養士さんなどの健診業務関係者だと思います。でもそんな彼女たちが頷かずに決まって渋い顔をするのは、わたしが体重の理論を話すときです。

そう、昨日の記事の最後に書いたあのこと・・・「生活習慣病予防や健康を念頭に置いた場合の”減量目標”は、綿密に計算された値ではなく、単に結果として体重がプラトーになるところの値であり、それが各人の理想値である」という話です。栄養学の理論を否定する話なのに何の証拠もない、ただの一医師の感想。でも講演する医師の立場でそれを話せば、それは大きな意味を持つ。「みんなががんばらなくなるのではないか」と懸念するのかもしれません。

でも、誰が何と云おうとこれは真実。人間の身体を単なる分子の集合体モデルで考えて質量保存の法則に従って理論的に計算して、その通りにやったらそれなりの成果が出るという根拠があるから学問が成立しているのですから、その理論計算を真っ向から否定されるとやっぱりイヤな顔をするだろうなと思います。でも理屈と違うのは、人間は各々違う体質であり、違う筋肉組成であり、違う代謝だということ。だから、生きとし生けるものは実験モデルのようにはいかなくて当たり前ではなかろうか。体重に関するトライアルがうまくいっているかどうかの基準は値がプラトーになるかどうかだけ・・・そしてそれこそが、自分のカラダ自身が認めた唯一の答なのだと思っています。だから、「目標値までもっと必死に頑張れ!」と叱咤激励するのも意味がないし、「妙に下がりすぎたから、少し食う量を増やして微調整した」というのも危険な発想だと思います。

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