こういうのはどうしたものか:スタチンと糖尿病
高コレステロール血症治療薬であるスタチン系を服用すると糖尿病になるリスクが増加するというのは、もはや常識化してしまった感のあるデータですが、”2型糖尿病リスクの高い人において、長期のスタチン使用は、既知のリスク因子や潜在的交絡因子を考慮しても、約30%の2型糖尿病リスク増加と関連する”という報告が出されていました。
その警鐘を鳴らした上で、「個別の患者について、糖尿病リスクのゆるやかな潜在的上昇を、スタチン治療に関連する心筋梗塞、脳卒中、心血管死の一貫したきわめて大きな減少と比較する必要がある」と締めくくるのもこれまでの報告と同じ。糖尿病リスクは高いけれど、スタチンを止めるより使っていた方が心血管疾患を予防する効果は高いだろう、というわけですが、それなら、この類のデータの扱いをもっと全体的にトーンダウンさせては貰えますまいか。しかも、「スタチンの糖尿病誘発効果の根底にあるメカニズムはほとんどわかっていない」となると、なおのこと。
『糖尿病や耐糖能異常に伴う食後高血糖が起きている時、インスリンスパイクによって血管壁の隙間が広がってその隙間を通して酸化したLDLコレステロールが壁内に入り込んでくる』というのが、動脈硬化の第一歩。つまりは、脂質異常症と糖尿病は常に同じスパイラルを形成する同じ穴のムジナ・・・「心血管疾患予防のためにスタチンを処方されている糖尿病の高リスク患者においては、血糖状態をモニターし、健康的な生活習慣を強化するべきである」とかいう当たり障りのない云い方は、自分が当事者ではないから云えることで、命に関わる病気の予防のために治療を受けている患者さんの中にはかなり心配している人が多いと聞いています。
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