こういうのはどうしたものか:ピロリとPPI
”ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)を除菌した後であっても、胃痛や胸焼けの治療に用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を長期的に使用すると胃がんリスクが上昇する可能性がある”という研究結果が、香港大学のWai Keung Leungらによって報告されたそうです。
さてさてどうしたものか。もちろんわたしたちは治療するわけではないけれど、こういう報告がでると患者さんから「どうしたらいいでしょうか」と相談されるのです。「そんなこと、主治医に聞け!」と思うのですが・・・。そもそも、ピロリ菌は食道には肯定的に働いているので、除菌すると総じて逆流性食道炎は起こしやすくなるもの。そして、そもそも逆流性食道炎の治療薬であるネキシチウムなどはずっと使うのが基本であると思っていたのに、「PPIの使用で胃がんリスクが2.44倍に上昇」し、さらに「使用期間が長いほど同リスクが上昇し、1年以上で5.04倍、2年以上で6.65倍、3年以上で8.34倍になる」とか云われたら、そりゃ飲みたくなくなるでしょうね。いくら、「胃がんリスクのわずかな増大を理由にPPIの使用を中止する必要はない」とかコメントされても、5倍とか8倍とか書かれたら気が気ではないでしょうね。
わたしは激しい逆流性食道炎持ってますし、ピロリ菌除菌治療を受けてもう10年以上になりますけれど、おかげさまでクスリを飲む気が根本的に皆無なので、対象外ですけど・・・(笑)。そうか、「胃酸の逆流がみられるだけの患者に対してはPPIを処方する前に生活習慣の是正や食事の改善を促す努力」をすべきであるという点から患者さんを説得する良いデータになる、と考えればいいのか。
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