理屈に追い回されないように
「むかしは炭水化物を減らしてタンパク質中心に食っていたけれど、最近は人間ドックのeGFR(糸球体濾過量推算値)がやや低値になっていたので、タンパク質を制限してその分炭水化物を多めに摂るように変えた」と云うドクターがおりました。
云っていることは何となく分かるのだけれど、そもそもこの御仁は糖代謝異常と脂肪肝があるのです。特段、異常値でもないeGFR(たぶん本当の値をきちんと計測したら年齢相応の腎機能のはず)のためにタンパク制限するのもどうかと思うけれど、それはそれでいいとして、その代わりに炭水化物の量を増やしたら本末転倒ではあるまいか。
なんてなことを、本人の自信ありげな主張を聞き流しながら思った次第です。
そういえば、高コレステロール血症の治療薬で”夢のクスリ”と称して独占的な地位を築いてきたスタチン系薬剤が、「糖尿病のリスクを有意に高める」ということで話題になっています。おそらく「糖尿病リスク」と書かれた時点で、気にするのは正常血糖の人ではなくて糖が高い人でしょう。で、そのために境界型糖尿病(糖代謝異常)の人がクスリを勝手に飲み止めてしまったらどうなるか。そもそも、食後高血糖になるときにインシュリンスパイク(血糖値をコントロールするインスリンというホルモンが乱高下する)を起こし、その時に血管の壁に隙間ができてその隙間から悪玉コレステロールが壁内に入り込んで動脈硬化を作るんです・・・待て待て、糖代謝異常の人ほどスタチン系薬剤が必要なのではないのかい?
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