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予防医療は診断学?

「若い先生は診断学だけでは物足りないのかな?」・・・ある先生がぼやきました。

医療の世界は大きく分けて2つの要素で成り立っています。『診断(学)』と『治療(学)』です。患者さんの訴えを聞き、必要な検査をして、その結果から何が悪いのかを見つけ出すのが『診断学』。そして、その診断に従って一番有効な手立てを決定して治すのが『治療学』。臨床医は診断と治療の両方を行い、それによって目の前で病に伏せていた患者さんを元気に回復させるのが喜びであり、それこそが心身ともに疲れても医業を続けられるモチベーションとなるのであります。わたしが若い頃に東京で3年間働いたときには放射線科に勤務しましたが、主たる仕事は診断学でした。他の先生から依頼された検査を行ってそれを読影して病気をみつける、あるいは病気でないことを診断する。そういう毎日でした。もちろん放射線科にも治療分野があります。がんなどに対するアイソトープ治療、ガンマーナイフ、サイバーナイフなどがそれです。

さて、それでは、予防医療はどっちなのか。臨床医をやってきた先生が人間ドックに従事しても数年で去って行くとき、「やはり自分は患者さんの治療をしたい」ということばを残していきます。診断だけして肝心な治療を他人に任すのは物足りない、というのです。「そりゃそうかもしれない」と納得しかけたわたしですが、それは大きな間違いだと思います。予防医療は『究極の治療学』なのだから。病気の早期発見(がんなども含めて)こそが予防医療の使命だと考えていると『診断学』と思うのでしょうが、わたしは予防医療は”病気にならないカラダ作り”が使命だと考えます。行動変容を促して生活の仕方を変えさせることは、治療以外の何ものでもありますまい。その自負を持って、これからも予防医療の治療医として頑張っていきたいと考えております。

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