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『様子を見ましょう』

外来医療用語の代表に、「様子を見ましょう」というのがあります。

「いろいろ検査をしてみましたがあまり悪い所はなさそうです。しばらく様子を見ましょう。また何かあったら受診してください」という使い方をします。

そうです。もちろんこれは、医者の”逃げコトバ”です。このコトバは、外来医師が患者さんを追い返すための常とう手段であります。ま、「問題ないですね。心配いりません。はい、じゃ、次の方どうぞ!」みたいな冷たい斬り捨て型の云い方に比べればマシですけど、それでも、これで帰ってしまったらきっと二度とこの先生の外来に顔を出すことはできないでしょう。「しばらく」がどのくらいで、「何か」がどんなことなのか良く分からないから(これは昔、機関誌のコラムに投稿した『診察室は不思議な空間(1)』に書いたことがあります)、再受診する時は二の足を踏みますし、受診するならこの先生ではない所に行くでしょう。その医者にとっては、真の病名が何だって構わないのです。二度と自分の前に現れさえしなければそれでいい。だから、できたら納得いくまで質問して食い下がってください(まあ、何もないのだから、無い袖は振れないでしょうけれど)。

でも、おそらく多くの良心的な医者は、「様子を見ましょう」というコトバを発する前に必ず他のことを云っているはずです。なのに多くのヒトが覚えていない。コトバがむずかしくて何云っているのか分からなかったから聞き流したのかもしれないし、異常がなかったことで安堵して何も聞こえなくなったのかもしれないけれど・・・たぶん、そのときに話された内容が一番大事。医者がそのとき、どういう病気を疑って検査をし、結果がどうで、今後何に注意しろと云っていたのか、どうか思い出してください(まあ、記憶に残らないのは説明の仕方が悪いのでしょうが)。

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