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救急現場が急に冷たくなる病気

顔面真っ青で見るからに尋常じゃない表情で救急外来に担ぎ込まれる患者。本人はいたって深刻なのに、いろいろ検査している間に、急に看護師の態度が冷たくなる病気がいくつかあります。まあ、問診取っている時点でほとんど予想は付きますが。

「コレはきっとハイパーベンチだね」と医師がつぶやき、動脈から採血した血液を機械にかけた看護師が「やっぱり、ハイパーベンチでした」と云いながら、検査値の印字された小さな紙を掲げて帰ってくる。コレが過換気症候群。簡単にいえば、呼吸のしすぎで体内から二酸化炭素が出て行きすぎた状態。息苦しいので一層頻呼吸をして酸素を吸い込もうとするのでますます悪化。動悸だけでなく、手足からどんどんしびれ始めて全身が動かなることもあります。昔、水泳のオリンピック女性選手が緊張のあまりコレになったことがありました。治療は、症状が軽ければ小さな紙袋やビニール袋を口と鼻にかぶせてやると治ります(一見、シンナー中毒みたいですが)が、救急外来では鎮静剤を注射して眠ってもらうのが簡単ですし、手を取りません。目を覚ました時にはほぼ治っています。

看護師さんが冷たくなる病気のもう1つが尿管結石です。気の毒そうな同情した顔はしてくれますが、基本、ほったらかしです。わたしの40年来の持病。何度放置プレイをされたことか。ER に担ぎ込まれた時には張り裂けんばかりの激痛で急性腹症として鳴り物入りで入ってくるのに、石とわかった瞬間に皆が安堵してサーッと潮が引くように散っていく。まあね、そうじゃなかったら、消化管が破れたか、大動脈が裂けたかの可能性があるのだから、ER 全体に緊張が走るもんね。「良かった、石で」と思わずつぶやいてしまいますよね。でもね、そんな最中にも、当の本人は七転八倒。「はい、この痛み止めですぐに軽くなりますからねー」と注射なんかしてくれるけど、治らない時は本当に治らないんだ。

どっちも、当の本人はとっても辛いんですよ~。そこんとこ、よろしくご配慮くださいね~。

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