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非空腹時の評価

特定健診の受診条件として「食直後でなければ(食後3時間半以上であれば)血糖値を評価して良い(今までは10時間以上空けていないとダメだった)」とお国がお達しを出したために、健診現場は大騒動です。国としてはできるだけ受診率を上げさせたいから飯食っててもOKにしたい。「ちょっとくらい高めの値でもメタボと引っかけてくれた方が良い」と思っているわけですが、金を出す保険者としては特定保健指導に該当する人をできるだけ少なくしたいし、それを請け負う健診機関(わたしの勤務する施設など)は特保用と普通の人間ドック用に条件を変える煩雑さ(正式には厳密に血糖評価をすべきであるという自負もあり)を極力避けたい。それぞれの立場の思惑がモロに見えてきます。

そんな中、食後3時間半では病気でなくても中性脂肪が高値を示すのじゃないか?という懸念があります。これに対して、「非空腹時に異常と判断する基準」というのが先日某医療雑誌に掲載されていました。それには、中性脂肪は175mg/dl以上(空腹時なら150mg/dl以上)と書かれていました。普通の人でも食ったら高値を示しますがすぐに下がるはず。どの程度のEBMを根拠にしているかは知りませんが、世の中多彩な労働環境や生活環境の中で、健診を受ける時(午前中)に必ずしも空腹を維持できているとは限らない(夜勤明けの人や深夜営業の飲食業の人など)わけだから、幅広く健診を受けてもらってスクリーニングするには大事なことなのかもしれません。第一、いつもは夜中まで飲み食いしているのに、健診の前日だけ早々に夕飯を食い終わって朝まで何も食わないなんて、全然フェアじゃない(そんな条件にしても異常になるのは本当の異常だから年貢の納め時だぞ!と云うことはできるか)。

非空腹時検査が多くなる中で、アメリカから提案されたのが新しいLDL(悪玉コレステロール)の推算式(計算式)です。

LDL-C値の新規計算式

昔からあるFriedewald式は総コレステロールと中性脂肪とHDLコレステロールがわかればLDLは計算で出てくるというものですが、中性脂肪の値が高すぎると成立しない(マイナスになる可能性もある)のがネックでした。それを改善させたのがこの新しい式らしいです(日本では、ほとんどの健診機関ですでにLDLコレステロールは直接測定するので、あまり計算式の必要性はありません)。

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