価値観の違い
予防医療の世界に入って15年以上になります。予防医療の考え方もかなり変化してきて、むかしは怪しい眉唾物扱いだった概念(食後高血糖とか腸内細菌とか)が当たり前になってきました。
ただ、そんな予防医療の世界が、最近おかしな方向に向かっている感じがしてなりません。医師も保健師も『二次精検受診率』を向上させることだけに必死で、あるいは『特定健診受診率』『特定保健指導受診率』をいかに高めるかに必死で、「結果説明や保健指導はそのためにしているのだ!」と云い切る人すらたくさんいます。「そのために国も予防医療に金と労力をつぎ込んでいるのだ!それが向上しないんだったらやるだけ無駄だ!」とまで。
わたしはそんな風潮がとても不満です。まあ、価値観の違いだから、うちの施設内の幹部クラスの話し合いでももう10年近く前からこの話になると、わたしと他の先生方の考え方の違いが歴然で、その都度溜息をつきながら「こんなんなら辞めてやる!」と息巻くわけです(生活がかかっているのでがまんしますけど・笑)。
結局数字で示せる成果を出さないと、それは「単なる自己満足」なのだということになるわけですし、「自己満足であっても、予防医療の本分は『病気にならない人生を送るための行動変容を促す力添え』でしょ」というと鼻で笑われてしまう。そんな仕事をしながら高い給料をもらっているわけだから成果を出してナンボだけど、でもなんか悔しい。そこに異常がある人を専門医に早く誘(いざな)うことはもちろん私たちの仕事だけれど、そんなの誰にでもできる仕事であって、経過観察とか軽度異常とか書かれている項目に隠れている異常をどうやったら悪化させないかをアドバイスする力こそが人間ドックを専門とする医師や保健師の本領発揮の場なのではないのか?
いかん、また堂々とグチを書いてしまった。
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