「ヘルシーメニュー」
先週末に〆切になったコラムの原稿。がんばって書いたけれど、結局最後には3か月前に書いておいたヤツを選んだから、これ、ボツになりました。しょうがないから、ここにアップしておきましょう。まあ、これが3か月後の投稿コラムになる可能性はないわけじゃないけれど・・・いいや。
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『ヘルシーメニュー』
食堂の入口に書かれた「ヘルシーメニュー始めました!」の文字。「今日のお昼はヘルシーランチ♪」というコメントと一緒にアップされたインスタグラム。今や“ヘルシー”は最強のトレンドです。健康志向の風潮の中で現代人は“ヘルシー”の単語に滅法弱い。健康を扱う仕事の私たちもついこの呪文に負けて注文してしまいます。先日そんな『ヘルシーメニュー』とやらを食ってみましたが・・・想像以上でも以下でもない。野菜中心で、あっさりした味付け、量もカロリーも抑え気味、煮物や湯通しした食材や鶏肉に雑穀米。「まあ、こんなもんでしょ」と思いながら美味しくいただきましたが、これを「物足りない」と感じた人、多いのではないだろうか? 地味な見た目にため息をつきながら、「これは“ヘルシーメニュー”だから。健康のためにがまんするのは当たり前だから」と自分を納得させようとした人、絶対にいると思います。
“ヘルシー”って何だろう? 私は“健康”とは「“幸せ”を感じること」だと思っています。「がまんの向こう側に健康はない」と信じていますから、健康的かどうかの評価ポイントは、その行動が楽しいかどうかです。料理を目の前にして「うわ、美味しそう!」とワクワクした気持ちになれないものはヘルシーとは言えない。カロリーもバランスも大事だけれど、“ヘルシーメニュー”は見るだけで思わずヨダレを垂らしそうなものであるのが必須条件。脂こってりボリュームメニューやファストフードに“ヘルシー”はないけれど、それを作る人自身が心から「食べたい」と思う料理にしか“ヘルシーメニュー”の名を付けてはなりませぬ。
先日読んだ本によると、「糖質を抑えるための代用品である人工甘味料では、絶対に満足感は得られない」そうです。人間の身体は血糖値が一定値を超えることによって「食べた」と認識できる様に作られているから、血糖値を上げない人工甘味料ではその代用は務まらないのだそうです。つまり、糖質を抑えるために人工甘味料をたくさん食べるくらいなら、本当の砂糖を少量口にした方がはるかに健康的で満足できるということです。一方、糖尿病治療セミナーの記事では、有名な管理栄養士さんが「高血糖を起こさないメニュー」を提示し、それがそのまま糖尿病予防に繋がる“健康食”だと書かれていました。世の中、何かおかしくなっているのではないか?と感じるのは、こんなところです。どこかで“健康”と“治療”が混同されてしまって誰もその矛盾に気づかない。“健康食”の延長上に治療があるならいいけれど、“治療食”の延長上に健康があると考えるのは本末転倒。食べる時間は、一日の中で一番楽しみな時であってほしい。目の前に並んだ料理をみて、「こんなの食べたら駄目になる」とため息をつくのではなくて、「あ~満足!」と思わず吐息が出る。それこそがヘルシーメニューでしょ!
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