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シャツはそのままで。

わたしはかなり前から、健診や人間ドックの診察のときに無理にアンダーシャツをめくり上げさせたり脱がせたりはしません。「シャツの上から聴診器当てる医者がいるらしいですよ。いい加減ですよね」と云う人に「わたしはいつもそうしていますけど、何か?」と答えて場をしらけさせたこともあれば、「あの医者は服も脱がせず聴診したが、これは業務怠慢ではないか」と投書されたこともあります。

昔は、「健診の聴診なんて形だけだ」と思われ、どうせポーズなんだから、聴診器の耳当てを一方側だけ耳から外していなくても咎められない(聞こえるはずがないのに相手には気づかれないと思われていたらしい)けど、服はめくらせないと「手抜きだ」と思われていたところがあります。でも最近は、受診者の方もアンダーシャツを着たまま構えて平然としている人が増えてきました。

もちろん、直接肌に当てて聞いた方が良いに決まっています。少なくとも外来受診している患者さんにそんなことしたら明らかに手抜きです。聴診で得る情報以外に皮膚の色や皮膚のできもの・炎症など、視診で得られる情報がたくさんあるからです。でも、健診で心音や肺音を聞くだけならアンダーシャツの上からでも十分。それは、聴診器の性能が良くなった(循環器科医だったわたしの聴診器は昔から高性能ですが)からというよりは、シャツの生地が進歩したからだと思います。昔は冬場になると分厚いシャツを何枚も重ね着しているおじいさんやおばあさんばかりで、あれはさすがに脱いでもらわないとわたしの高性能聴診器でも何も聞こえませんでした。でも、今のシャツはとにかく薄くて温かい。良い時代になったなあ、とつくづく思います。まあ、「シャツはそのままで大丈夫です」と云っても全く聞く耳持たずに薄っぺらい下着をめくり上げる男性は居られますので、そんな方に無理矢理シャツを下ろさせることはしませんが。

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