高齢者とコレステロール
今回CareNetに紹介されたのは、米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のJeremy Silverman氏らの研究結果で、「中年期と比べてTC(総コレステロール)値が上昇すると、75~84歳の高齢者では研究登録時から10年後までに認知機能が低下するリスクが50%高くなったが、85~94歳の高齢者では同リスクが32%低くなることが明らかになった。また、スタチンの使用が認知機能低下の抑制に関連することも分かったが、加齢に伴いその効果は低下していた」というもの。つまり、超高齢者では、コレステロール値が高い人の方が認知症にかかりにくく、脂質異常症に対するクスリは高齢者になるほど認知症抑制効果が乏しくなる、ということです。
ま、賢明な方はおわかりでしょうが、だから高齢になったらコレステロールの多い食材や高カロリー食を取った方が良い、という意味ではありません。研究者のSilverman氏のことば、「85歳になると、突然コレステロールが健康に良いものになるわけではない。高コレステロールというさまざまな疾患のリスク因子がありながらも85歳まで長生きできるような人は、高コレステロールによる悪影響から身を守ってくれる何らかの因子を兼ね備えている可能性が高い」というのが妥当な見解でしょう。生き延びた人に学ぶもの、それは、真似できない本人の体質を除けば、生き延びた人の若かりし日の生活習慣と社会環境を模することでしょうかね。
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