「空腹を楽しむ」
往生際が悪い!と云わないでください。先月発行された連載コラムの転載を忘れていましたので、最後にコピーしました。基本骨子は2016.8.10の記事です。
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「空腹を楽しむ」
人間ドックや健診の受診者さんは絶飲食で臨みますから、中にはイライラしたり覇気がなかったりする人がいます。以前は昼前になると「オレは朝飯食ってないんだぞ!早くしろ!」と怒鳴る人もおりました。でも、私は日頃から意図的に朝食を摂らない習慣なので、腹が減ってもイライラすることがありません。むしろ空腹の感覚を楽しんで生きている“変人”です。
朝食はきちんと摂るべきである。朝食を抜くと動脈硬化が起こりやすい、認知症になりやすい、感染症になりやすい、事故を起こしやすいなど、朝食抜きがいかに身体に悪いかについては昔も今もたくさんのデータが示されていますが、それを承知の上で自分のやり方を変えないのは、単なる偏屈爺なだけではなく、“空腹”な自分を楽しんでいるからです。マジメな私は、食べるべき時に食べないと身体に悪いと信じ、無理してでも食べていました。でもある書物を読んで、食べないことは決して悪いことではないのだと知った後、試してみたら恐れていたことなど何も起こらず、むしろ体調が良くなる一方だったのでそのまま続けている次第。別にこの行為を他の人に薦める気はありませんが、止める気もありません。
そもそも、ニンゲンとペット以外で、「定刻に食べる」という行動を取る動物はいません。腹が減ったら獲物を探し、やっとの思いでありついた餌でも腹一杯になったらもう食わない。“勿体ない”はニンゲンだけが持つ感情です。決まった時刻に規則的にきちんと食事を摂るのが身体に良く、偏食なく腹八分目に食べるのが寿命を延ばし、食事を抜いて空腹時間を作ると次の食事で吸収率が上がるから良くない、などと食事を理屈で唱え始めて以降、規則的にものを食うのが健康的だと信じられるようになり、一部の貧困層を除いて、芯から“空腹”を感じる機会がほとんどなくなりました。“空腹”は不健康であり、みっともないと思っている人すらいます。でも、“空腹”の感覚はとても重要です。朝食を摂らないと朝9時半頃から無性に腹が減り始めますが、その時に初めて自分の身体の真ん中に“胃”が存在することを意識できます。「お~今日もしっかり腹が減ってきたなあ」と感じられる時こそ健康である自分を実感でき、“胃”の存在に意識を持っていくと食べる時にその有り難味がしみじみ分かります。そして、何が本当の満腹感かを実感できるようになる。この感覚、真の“空腹”を知らない人には分からないだろうなあ~。
“空腹”を感じて悦に入るのは贅沢な道楽みたいなものですが、こんな楽しみ方を自分だけのものとして隠しておくのは勿体ないのでご紹介しました。保健師さんが怖いので朝食抜きは薦めませんが、一日一回は完璧なる“空腹”を体験して自分の身体と対話してみてください。皆さんも意外にクセになるかもしれません。
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