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2018年6月

睡眠薬と認知症

認知症リスクが高い睡眠時間は?~久山町研究

困った・・・「日本人高齢者において、『睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上』『睡眠薬の使用』が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告」という記事がCareNetから配信されてきたんですけど。

睡眠時間のU字カーブは以前から分かっていたことなので別にいいんですけどね。「睡眠薬の使用が認知症や死亡リスクに及ぼす影響を調べたところ、睡眠薬を使用している参加者は、睡眠薬を使用しない1日睡眠時間5.0~6.9時間の参加者に比べ、認知症リスクが1.66倍、死亡リスクは1.83倍であった」というところ・・・。「最近の睡眠薬は依存性が生じにくいから積極的に服用して質の良い睡眠を取るように心がける方がむしろ健康的な生き方なんですよ」って説明してきたのに、それがウソだということになってしまう。「寝酒パターンになるくらいなら睡眠薬飲んだ方がいい」と云ってきたのに・・・眠る目的で寝酒する輩が増えてしまったら、本末転倒だよ~。

”睡眠薬を必要とする”という時点でバイアスがかかっているのだから、比較するなら”睡眠薬がないと良い睡眠を得られないけれど、がまんして睡眠薬を飲まないでいる”人としてほしい気がします。あるいは、”眠れないから睡眠薬を使わずに酒を飲んで寝る”という人との認知症や死亡リスクの比較を・・・かえって難しいのかしら。

でも、これが久山町研究だからこそ、データが一人歩きしそうで、ちょっとこわい。

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息を吸ってください。

外来の診察ではなく、住民健診でもなく、人間ドックの診察。

聴診器を当てて「息を吸ってください。吐いてください。息を止めてください」と云いながら呼吸音や心音を聴き取ります。

この時に、「息を吸ってください、吐いてください」というところを、「息を吸って」「吐いて」「止めて」と命令口調になることが時々あります。だって、まどろっこしいし、話していると音が十分聞こえないので自分の発する言葉は最低限にしたいから。

でも、その都度、気になるんです。なんかこの命令口調は上から目線の極みでしょ。病気で病院を受診しているわけでもないし、わざわざ高い金払って来てるお客さんにそんな偉そうな態度を取っても良いモノだろうか?と。そんなことを思うと、せめて何回に一回か(特に最後)は、「~してください」を盛り込むように心がけているわたしです。

謙虚でしょ。どっかの総理大臣や某大臣みたいに、何を云っても上から目線のしゃべり方になっても気にしていない(というか気付いてもいない)人は、何云ってるかすら分からないだろうなあ。

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なめられる?

医療系の投稿ページに、「機嫌のよい人は結局損をする」という項目がありました。たしかに仕事を頼むときは、機嫌よさそうな人や頼んだらすぐに引き受けてくれる人に声をかけてしまうのが当たり前だなと思います。うちの職場でも、アテンダントさんが急な仕事のお願いをするときに、「今忙しいんだよ!」「担当が決まっているでしょ!」と叱られる先生には声をかけづらく、結局声をかけやすい先生=頼んだらいつも引き受けてくれる先生に声をかけてしまうから、優しく引き受ける人ほど損をする、ということが問題になりました。そのために時間割を作って、どんなに忙しくても、その割り当て時間には断らずに頼まれ仕事を優先する担当、というのを作ったことがあります。今でもそれは続いているのでしょう。

頼まれやすい人は、断らない人、優しい人。決してなめられているわけではないけれど、いつも苦虫をかみつぶしたような顔をしているわたしよりも、いつもにこにこ温和な顔をしている先生の方が絶対に頼まれやすい(頼みやすい)。「それって、損だ!」から、頼まれないように不機嫌な顔をしておく方が得策・・・そんなことを思っていた時期もありますが、この歳になると、考え方は完全に逆になってきました。周りの人にどんな時でも声をかけられる、相談される、頼まれ事が多い、そんな人は、”なめられている”のではなく、”信頼されている”のであります。怖れられて声を掛けづらい人は、そのまま敬遠されてしまう。「ふん、それで良いんだもん。それの方が楽だもん!」とか強がってみてもそれはそれは寂しいモノ。日頃から上機嫌で鼻歌交じりの脇のあまい態度を取っておきたいものです。まあ、今までぶっきらぼうだったものが急ににこにこされても、ちょっと気持ち悪いけど・・・。

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ミルクチョコレート vs.ダークチョコレート

世の中、いろいろな研究テーマを見つけ出すものですね。

ミルクチョコレート vs.ダークチョコレート、視力に良いのは?

アメリカ、University of the Incarnate Word Rosenberg School of Optometry(Jeff C. Rabinら)の研究報告の紹介です(JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年4月26日号)が、短期間の血流改善や気分および認知機能を改善させるとされるダークチョコが視力ならびに大きい文字と小さい文字のコントラスト感度に対する短期効果もあるのかどうかを調べたそうで、若いボランティア男女に、ダークチョコレートとミルクチョコレートを別個に食べてもらい、1.75時間後に視力とコントラスト感度を測定して比較したそうです。

まあ、ダークチョコレートの方が有意に良くなったという結果には何の文句もありませんけど、ミルクチョコと比較されてもなあ。しかもその差は有意とは云え微々たるものの様で、結局、どんなチョコでも食べないより食べた方が良いということではないのかしら? 免許証更新の視力検査の時には直前にチョコを食っていくと良いのかもね(笑)

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京都の御仁はお茶がよろしい。

緑茶は口腔関連QOLに好影響~亀岡スタディ

口の中の健康に関連する生活の質について京都亀岡スタディ(亀岡市在住高齢者を対象としたコホート研究)を使って国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(南里 妃名子ら)が調べた結果によると、65歳以上のご高齢日本人の場合は、緑茶をたくさん飲むほど口の中が健康に保たれるのだそうです(European Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2018年5月23日号)。

コーヒーでは有意な相関は見られなかったのだそうですが、この自己申告調査って、コーヒーがブラックかミルク入りか砂糖入りかとか細かく分けてみたのだろうか? ま、わたしはコーヒーより緑茶の方が好きだから、問題ないんだけれど・・・。

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要するに病気やからね

『スポーツ心臓』って、要するに病気やからね。

本来の心臓機能では乗り越えられない負荷がかかってやむを得ず変化したものなのだから・・・プロスポーツ選手ならそれは”職業病”(チェーンソーを使う林業の方の『レイノー病』みたいなもの)だし、「今は止めたけど昔はバリバリのスポーツ選手やった」という人ならそれは単なる”後遺症”やん。

自分が運動をあまりしたことがない医者ほど、『スポーツ心臓』の単語を並べてもてはやして、「これはスポーツ心臓だから、健診の心電図検査で異常があると云われても気にするな」とか平気で云うけどね、スポーツ選手や元スポーツ選手は突然死することが多いのだから、少なくとも『スポーツ心臓』は自慢することでもないし、むしろ「心臓が普通の人より悪い」と思っていてほしい、というのがわたしの本心。

ま、凡人のわたしにとっては、所詮他人事ですけどね。

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経験値

AIを駆使した商品開発や自治体・企業とのコラボした取り組みが一気に加速度を増した感がありますが、どこか割り切りが要るのでしょうね。お店に入ってテーブルにスマホを置いただけで注文ができて、スマホで支払いも済ますから、店員と話をすることなく料理が食えるという飲食店の取り組み。人件費節約にもなるし店も客も便利だというけれど、スマホをテーブルに置いた時点でデータ全部抜き取られるんじゃないの?と心配する私。何よりもどんどん他人と話さない、関わらない社会に拍車がかかり、AIは人間としてのコミュニケーション能力を全て吸い取って行こうとしているのではないかと懸念する昭和なわたし。

トイレの空き状況がスマホでわかるから効率的で仕事に無駄がないというけれど、社内のみんなが使うのだから、空いたトイレに向かっているうちに近くの人が先に到達して無駄骨になり、結局最寄りのトイレで待っていた方が早かったりしないのだろうか。心配性の小市民のわたしなら、いつも気になってかえって仕事に集中できないかもしれないな。

そんな中、仕事で心電図読影などしていて思うのですが、AIはアナログな経験値という因子に本当に勝てるのだろうか。まあ、「そんな不確実な因子はそもそも要らないのだ、誰がやっても同じ結果でなければならないのが医療というものだ」という考えがAI理論の基本であることはわかる。そこにこれまでの積み重ねられたデータや読影者の読みグセまで学習すれば、AIは少なくとも診断という点では人間の医者に完全に勝利できる、という人はたくさんいるのだけれど…。本当はどうなのかしら。循環器疾患なんて、年齢や他の病気の有無や薬剤内服歴などだけでなく、本人のキャラクターや生活の仕方や今までの外来受診で何を云われたか、どんなことを云われてトラブルを起こしたことがあるのかとか、そんなことまで加味して診断するのだけど、そういうことを誰がAIに教えこむのかしらね。「医者の経験値」というのは、単にデータの蓄積や失敗経験の積み重ねだけじゃないと信じているんだけどね。ま、少なくともわたしが医者として働く間は関係ないから良いけれど、ちと老婆心ながら気がかりではあります。

 

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引き水

やらなきゃなと思うことは今もたくさん山積みなのに、相変わらず動けないでいます。毎日同じ書類を持って帰ってそのまま持って出勤する。30年もの間ずっと同じことを繰り返して来たのだけれど、おそらく最近の方がひどい。あまり以前ほど義務感に駆られていないからかもしれない。どこか、エキストラの仕事人生だからと思っているところがある。

結局、最初の第一歩が踏み出せない(とっかかれない)からいかんのだけれど。で、一旦終了宣言をしたこのブログだけれど、最近ヒマに任せて時々こうやって書いてみたりなんかする。毎日の義務じゃないのでとても楽。で、先日ちょこと気になっていたことをiPadにしたためていたら、なんかそれが引き水になって他の仕事も一気にできたりしました。

わたしの愛犬セイラは気分が乗らないと1日全くフードを食わなかったりするのだけれど、彼女になんかのキッカケを与えると一気に完食する。あれと同じかな。

だったらまたブログを始めたらいいんじゃない?という人もおりましょうが、そうはいかない。そんなことしてたら、またそればかり考えて毎日文章に追われる日々になってしまって、かえって他の仕事どころじゃなくなってしまうことぐらい、百も承知さ(笑)

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