経験値
AIを駆使した商品開発や自治体・企業とのコラボした取り組みが一気に加速度を増した感がありますが、どこか割り切りが要るのでしょうね。お店に入ってテーブルにスマホを置いただけで注文ができて、スマホで支払いも済ますから、店員と話をすることなく料理が食えるという飲食店の取り組み。人件費節約にもなるし店も客も便利だというけれど、スマホをテーブルに置いた時点でデータ全部抜き取られるんじゃないの?と心配する私。何よりもどんどん他人と話さない、関わらない社会に拍車がかかり、AIは人間としてのコミュニケーション能力を全て吸い取って行こうとしているのではないかと懸念する昭和なわたし。
トイレの空き状況がスマホでわかるから効率的で仕事に無駄がないというけれど、社内のみんなが使うのだから、空いたトイレに向かっているうちに近くの人が先に到達して無駄骨になり、結局最寄りのトイレで待っていた方が早かったりしないのだろうか。心配性の小市民のわたしなら、いつも気になってかえって仕事に集中できないかもしれないな。
そんな中、仕事で心電図読影などしていて思うのですが、AIはアナログな経験値という因子に本当に勝てるのだろうか。まあ、「そんな不確実な因子はそもそも要らないのだ、誰がやっても同じ結果でなければならないのが医療というものだ」という考えがAI理論の基本であることはわかる。そこにこれまでの積み重ねられたデータや読影者の読みグセまで学習すれば、AIは少なくとも診断という点では人間の医者に完全に勝利できる、という人はたくさんいるのだけれど…。本当はどうなのかしら。循環器疾患なんて、年齢や他の病気の有無や薬剤内服歴などだけでなく、本人のキャラクターや生活の仕方や今までの外来受診で何を云われたか、どんなことを云われてトラブルを起こしたことがあるのかとか、そんなことまで加味して診断するのだけど、そういうことを誰がAIに教えこむのかしらね。「医者の経験値」というのは、単にデータの蓄積や失敗経験の積み重ねだけじゃないと信じているんだけどね。ま、少なくともわたしが医者として働く間は関係ないから良いけれど、ちと老婆心ながら気がかりではあります。
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