思惑の違い
先日、紙巻きたばこをグローに替えたという人が人間ドックを受診されました。最近は、電子たばこや加熱式たばこがコマーシャルに乗っかって急速に普及しており、乗り換えした愛煙家も多いようです。「私は数ヶ月前からたばこはやめました」と胸を張って云う御仁。「今はもっぱらアイコスです」とか「グローにしました」とか悪びれずに云い足すのは、それが「たばこではない」(紙巻きたばこよりはるかに健康的で、周囲の人にも迷惑をかけていない)と信じているからでしょう。
医療者は、その理屈がほぼ否定されていることを知っています。日本禁煙学会などから論破データが続々と紹介され来ているからです。くだんの受診者にそれを知らせてあげようと思って、結果説明の前にインターネットで『グロー』で検索してみました。ところが、驚いたことに、否定的な記事が1つもヒットしません。いかに害が少ないか、試してみたけど問題なさそうだ…そんな記事だけが出てきます。いやそれはおかしい、世界的にも医学的に完全に論破されていることはわかっているのだから、普通に検索したら、せめて肯定的な記事と同数の否定的な記事があって当然である。
明らかに作為を感じました。検索の一覧の順番はどれだけ記事を読んでいるか、ヒット回数の順だから、何度も読みに行くと上の方に上がって行くと云うことは知ってはいましたが、ここまで極端だとちょっと怖い。最近は、何でもかんでもネット検索、医療情報を医療者自身もネット検索して確認している現代。しっかりしておかないと、医療者でもウソ情報を信じてしまいかねません。因みに、検索ワードに『グロー』だけでなく『日本禁煙学会』と付け足すと、今度は否定的な記事ばかり。これはこれで、なんか怖いです。
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