前頭葉機能テスト
『脳ドック』は、MRI検査や頸部血管エコー検査などの画像診断だけでなく、認知症のチェックのための前頭葉機能検査というのを必ず行います。やり方はいろいろありますが、現在わたしの勤務する施設では、1分間に花の名前を思い浮かぶだけたくさん云ってもらうとか、提示した文章を読んで内容を理解しながら『あ・い・う・え・お』の仮名拾いをしてもらうとか、あるいは検査官が唱える数字を復唱してもらうとかいうのを行っています。
これ、意外にできないんです。MRI検査で脳に何の異常もない人でも意外にできない。まあ、できなくてショックを受けてもらうためにあるような検査(脳は使わないと退化する、ということを実感してもらうためにある)で、「日頃”脳トレ番組”に一生懸命参加してください」と説明しています。
ただ、これが若くていつも最前線で仕事をしている人でもできないのは、もしかしたら最近の風潮が影響しているのかもしれないと思うのです。「そんなことして、何か意味があるの?」「これを覚えて、将来本当に何かの役に立つの?」みたいなことを子どもの頃や学生時代にたくさんやらされていましたが、最近は自分の将来に必要のないと思えるものはやらない、ということがまかり通る時代になってきました。興味があることだけやっていても社会生活はやっていけるし、不要なことに向かっていた時間を他に使えば有意義である、とまことしやかに語る御仁も少なくない。本や活字を読むことも減り、必要最低限の知識はネット検索で十分・・・そんな時代だから、こんな簡単な検査がまともにできないのじゃないかと思う次第です。
昔、ゲーム機で脳トレに挑戦していたら、みるみるアタマが冴えてきたことを思い出しながら、もともと準備された機能は使わなければ急速に退化する・・・その事実を目の当たりにしてわたしはちょっと困惑しています。
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