『ヘルシー メニュー』
定期投稿のコラム、本日発行されました。
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『ヘルシーメニュー』
あちこちの食堂の入口に『ヘルシーメニュー始めました!』の文字が踊り、「今日はヘルシーラ ンチ♪」というコメントと一緒にアップされるインスタグラムの写真。今や“ヘルシー”は最強の トレンドです。健康志向の風潮の中で現代人は“ヘルシー”の単語に滅法弱い。健康を扱う仕事 の私たちもついこの呪文に負けてしまいがち。先日そんな『ヘルシーメニュー』とやらを食って みましたが・・・想像以上でも以下でもない。野菜中心で、あっさりした味付け、量もカロリーも抑 え目で、煮物や湯通し食材や鶏肉に雑穀米。「まあ、こんなもんでしょ」と思いながら美味しくい ただきましたが、これを「物足りない」と感じる人は少なくないでしょう。地味な見た目にため息 をつきながら、「これは“ヘルシーメニュー”だから。健康のためにがまんするのは当たり前だから」 と自分を納得させようとした人が絶対にいると思います。
“ヘルシー(=健康的な)”って何だろう? 私の考える“健康”の定義は、「幸せを感じること」です。 私は「がまんの向こう側に健康はない」と信じていますから、健康的かどうかは、楽しいかどうか で評価します。だから、料理を目の前にしてワクワクした気持ちになれないものはヘルシーとは 言えない。カロリーもバランスも大事だけれど、“ヘルシーメニュー”は見るだけで思わずヨダレ を垂らしそうなものであるのが必須条件であり、脂こってりボリュームメニューやファストフー ドに“ヘルシー”の称号は与えられないとしても、少なくとも作る人自身が心から「食べたい」「食 べさせたい」と思う料理にしか“ヘルシーメニュー”の名を付けてはなりませぬ。
以前読んだ本に、「糖質を抑えるための代用品である人工甘味料をどれだけ食べてもヒトは絶対 に満足感を得ない」と書いてありました。人間の身体は血糖値が一定値を超えた時に初めて「食 べた」と認識する様に作られているから、血糖値を上げない人工甘味料ではその代わりは務まら ないのだそうです。つまり、気持ちをごまかすために偽物をたくさん食べるくらいなら、本物の 砂糖を少量口にした方がはるかにヘルシーだということです。一方、糖尿病治療食の記事で、有 名な管理栄養士さんが『高血糖を起こさない料理』を提示し、「工夫さえすれば治療食でもそれな りにおいしく食べられる」と言い、「これこそが健康食だ!」と結論 づけていましたが・・・それはおかしい。だから、「ヘルシーメニュー の割においしいね」とかいう間違った使い方がまかり通るのだと思 いました。
食べる時間が一日の中で一番楽しいトキであってほしい。目の前 に並んだ料理をみて「こんなの食べたらダメになる」と罪悪感に苛 まれるのではなく、食べる前から幸せ気分に浸れるような究極のヘ ルシーメニューをいただきたいものです。
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