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超悪玉脂肪酸

相変わらず毎日のように供給される栄養学の情報。ホント、情報に翻弄されてしまいます。私たちですらそうなのだから、一般市民の皆さんは大海に浮かぶ小舟のようにただただ漂うだけの現代社会なのかもしれません。

今年になって配信された情報の中からちょっと気になったモノを紹介してみます。まずは、これ。

知らずに食べている超悪玉脂肪酸、動脈硬化学会が警鐘
”超悪玉コレステロール”はsmall dense LDLという小さなLDLコレステロールのことですが、”超悪玉脂肪酸”といえばトランス脂肪酸のこと。もう10年以上前からその筋では騒がれていましたが世間で認知度を高めたのは数年前だったでしょうか。よく、マーガリンとバターの比較で論じられてきました。トランス脂肪酸は液体の植物油を工場で食品加工して固形油に変換する時に生じるものです。「脂肪は動物由来よりも植物由来の方が動脈硬化を起こさない」という理由でバターよりマーガリンの方がもてはやされていたのに、マーガリンは製造過程で液体植物油を固体に変換するためにトランス脂肪酸が生じることが報じられて以降、急に「やっぱりマーガリンよりバターの方が健康的だ」という風潮に変わったりしたことを覚えているひとも多いのではないでしょうか。

「トランス脂肪酸と飽和脂肪酸を同量摂取して比較した場合、トランス脂肪酸は飽和脂肪酸と比べ動脈硬化の発症を10倍も増やし、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の悪化などを引き起こす」
「現時点では日本人において、直接その有害性を証明した根拠が少ないという理由で、日本では超悪玉脂肪酸が普通に食品に含まれていても許可されている」
「トランス脂肪酸摂取量がLDL-C値や中性脂肪値と正相関、HDL-C値と逆相関することがわかった」
「トランス脂肪酸の血中濃度とBMIや年齢の関係を見ると、高齢者(75歳以上)ではメタボ有無による差はないが、若年層(60歳未満)のメタボ群では有意に血中濃度が高値を示した」

まあ、トランス脂肪酸は動脈硬化を進めることに疑う余地はなく、食品製造の過程でそれを作らせない努力をするべきであることは明白なのですが、含有成分表示が義務化されているアメリカと違い、日本は曖昧な表示。どうも、農林水産省が消極的だからのようですね。「農林水産省は、ホームページに“食品中のトランス脂肪酸を減らす努力をしています”と記載していながらも、“トランス脂肪酸だけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮”と記しているので、トランス脂肪酸摂取による健康被害に根拠がないとも読み取れる説明文を掲げている」という指摘がされていました。

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