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食べる、を考える(1)

糖尿病学会が食事療法の在り方について大きく見直す方向であることは先日ここに書きました。すでに欧米では、コレステロールについても脂質の食事制限は大きく緩和され、基準値の見直しもされました。今、生活習慣病に対する食事の摂り方の指針が抜本的に変えられようとしています。それはなぜかと云えば、検査値を良くするために生活や食事に厳しい制限を加えて、いままでその筋の専門家やエライヒトが学問的な理論や経験則から考えて決めていた基準値を達成できたとしても、引き起こされる病気自体の改善やそれによる心筋梗塞や脳卒中などの合併症の軽減にあまり効果がない(あるいはむしろ悪化する)という臨床結果が次々と発表されたからです。

それでは何のために努力してきたのか。もちろん、病気の発症予防とか、医療者が好きな”重症化予防”とかのための努力であり、それが目的で保健師さんたちはココロを鬼にして受診者や住民の各々に叱咤激励してきたわけですし、当の本人も日々健診結果の数値を良くするために食いたいモノも食わずにしたくもない運動をせっせと行って修行僧のような人生を強要されてきたわけです。特保にひっかからないように必死にやせようと努力もしたでしょう。各学会を代表するその筋の専門家たちはテレビで必ず「病気にならないようにするには・・・に注意しましょう」「・・・すればやせられます」という口調で運動と食事と睡眠の大切さを口にしますし、以前とは比べものにならないくらい健康番組があふれていて、しかもどの番組も、「健康長寿にはこの食材がいい」とか「〇〇には△△という栄養素が含まれているからカラダにいい」とか、どっかの研究所か専門学校の講義かというくらいに細かいことを、『健康』信者として何でも盲信する視聴者に対してまことしやかに語っています。ところが、予防のための食事の摂り方の理論そのものが覆されそうになっていて、そのために何でも信じていた国民はみんなアタフタする羽目になってしまったわけです。  (つづく)

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