食事療法の見直し(2)
(つづき)
●荒木 厚氏(東京都健康長寿医療センター/日本老年医学会):J-EDIT試験の結果から、「ビタミンD低下はサルコペニア、ビタミンB2やカロチン摂取低下は認知機能低下、タンパク質摂取低下は筋肉量および下肢機能低下などのフレイルに関連する」
「タンパク質1.0g~1.5g/kg体重の摂取がサルコペニアの予防に大切である」と指摘。
「後期高齢者はタンパク質摂取が低い群で死亡リスクが高くなる。さらに、緑黄色野菜の摂取量がHbA1cや中性脂肪値にも影響する」とも指摘。
●山田 悟氏(北里大学北里研究所病院糖尿病センター):「現在の治療法は、高血糖ではなく肥満の治療法である。非肥満患者に肥満治療食が提供されていてナンセンスである」
「理論的意義も実際の有効性も安全性も担保されていない」
ハーバード大学におけるメタボリックドミノの新モデルでは、糖質の過剰摂取が最上流として着目されており、「日本人の糖尿病食事療法にエビデンスのある、多様な食事法の導入を目指していくべき」と提言。
●綿田 裕孝氏(「食品交換表」編集委員会委員長):食品交換表は、「現代社会において簡単に使いやすい、いろいろな食習慣・環境の人が使えるという定義どおりのものになっているかどうかは疑問が残る」と指摘し、管理栄養士の40%は食品交換表は利用しないという。
なぜなら、「食事療法の対象となる患者のうち、調理する習慣がない、調理ができなくなった、中食・外食・コンビニ利用者が約90%占めるなど、現代の患者背景を考えると、調理を基盤とした食品交換表を使用するのが困難である」から。
何とも、わかりやすい指摘ばかりです。そのうち、これを元にして「糖尿病診療ガイドライン2019」が策定されるでしょうから、乞うご期待。
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