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腸内細菌叢が環境に対応するのは悪いことなのか?

腸内細菌叢の"西欧化"で肥満リスク上昇

”欧米以外の国から米国に移住した人では、腸内細菌叢の多様性や機能が変化して西欧化することが、東南アジアからの移民を対象とした研究で示された。米・University of MinnesotaのDan Knights氏らは、腸内細菌叢の西欧化は肥満などの代謝性疾患の罹患リスクを高める可能性があるとCell(2018; 175: 962-972.e10)に報告した。” (Medical Tribune 2019.1.17配信)

東南アジアの人種がアメリカに移住すると、すぐに腸内細菌叢が変化して太りやすくなる、という研究発表です。昔から、生活習慣病は生まれもっての遺伝因子よりも生活環境の影響の方が大きいことは云われていて、たとえば日本に住む日本人とアメリカやハワイに移住した日本人では、糖尿病や肥満症などの発症が明らかに移民に多いことが示されてきました。これは、もともと農耕民族として飢餓を生き延びてきた遺伝因子がその環境下で本領発揮できるように仕組まれているので、食事や生活が欧米化すると欧米人のカラダのような対応ができないからだと説明してきました。

ま、それを裏付けるデータと云ったら良いのでしょうか。でも、『米国への移民の腸内細菌叢では急速な変化が認められた。移住後最初の6~9カ月間に、食物繊維の分解作用が強いPrevotella属の細菌が優位な状態から、Bacteroides属の細菌が優位な状態に変わり始め、このような変化は米国に移住後10年間続いた』『人は新たな国に移動すると、新たな腸内細菌叢を獲得し、その人が持っている微生物種だけでなく、酵素も変化する。それによって、消化できる食物の種類に影響が及び、食事による健康への影響も変わる可能性がある』ということは、東南アジアの人種のカラダがアメリカの生活に慣れるために腸内細菌叢の入れ替えをする、ということに他ならず、それは環境に適応して生き延びるための防衛本能ではないのでしょうか。だとしたら、「決して悪いことではない」ということになるし、「腸内細菌がアメリカ型に入れ替わったから肥満になった」というのであればむしろアジア人の食事が欧米化したことよりも、欧米食の存在が悪であるということが強調されるべきなのではあるまいか。

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