椅子の高さ
15年くらい前、産業医の研修会だったか、あるいは何かの学会のシンポジウムだったかで、オフィスの椅子の話を聞きました。毎日デスクのパソコンに向かって仕事をする人にとって、椅子の形や高さはとても重要です。椅子はどのようなものがベストなのかを『人間工学』の立場から解説してもらったのです。
で、そのときに教えてもらったのは、「椅子は高くし、デスク上のパソコンモニターを斜め上から見下ろす形にするのが理想である」というものでした。椅子の高さがモニターより低いと、常に見上げる形になり、首を反らせるので頸椎を痛め、姿勢も悪くなって腰や背中を痛めるし、いつも目を見開く形になるのでドライアイになって眼精疲労を起こしやすくする、という理由だったと記憶しています。だから、若いスタッフが椅子を可能な限り低くした挙げ句にさらに寝そべるようにして俯かせたモニター画面を下から見上げる姿勢を取っているのが、滑稽でたまりませんでした。
ところが最近、椅子が高すぎると画面を覗き込む形になって猫背になったり海老反りしたりして、返って腰や首を痛めやすいので、椅子は低くした方が良いという整形外科医の話をテレビの健康番組で見て、大変ショックを受けました。だって、全然云ってることが逆なんですもの。でも、この機会に椅子についてネット検索して調べてみて、なんとなく分かってきました。皆さんの椅子の座り方自体が最近おかしいんです。きっと、大きなデスクトップパソコンではなく皆がノートパソコンを使うようになったからではないかと思います。ノートパソコンのモニターを覗き込んでしまうと、椅子に深く腰掛けて背もたれにカラダを固定させる、本来の『人間工学』的な理想姿勢をしにくくなります。前のめりになるか、海老反りになるか、椅子の前の方に座るか、浅く腰掛けて寝そべるか・・・たしかにわたしも自宅でノートパソコンを立ち上げると必ず猫背で覗き込む形になっていることに気づきました。
日頃、目、肩、腰、首に凝りと痛みがでている皆さん、 今更なかなか理想の姿勢には変更できませんが、オフィスの椅子は基本的に『人間工学』に則った形に設計されていますから、できるだけ深く腰掛けて椅子の形にカラダをはまり込ませて仕事できるように心がけましょう。
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