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最悪の場合

芸能人ががんに罹ったり、難病になったりしたことを公表するたびにマスコミが騒ぎ立てるのが、最近特にひどくなった印象を受けます。

以前、めずらしい感染症が流行して大騒ぎになったときにも書きましたが、基本的な知識のない人間がネット検索の字面で自分なりの理解の仕方をしただけでまことしやかに説明をする風潮はそろそろやめてもらえないだろうか。たとえそこいらの専門医を急いで呼んできたとしても、彼らとしても、本当はとても奥深くて複雑な内容を簡単に説明しろと云われた挙げ句にそのことばに責任を持たされるので、結局一番最悪の場合の想定でしか語れないでいます。

どう考えても最近のテレビニュースやワイドショーは、タブーの領域に入り込みすぎていると思います。専門領域にいる者同士がディスカッションするのならともかく、つけ刃(やいば)の知識で太刀打ちできる領域ではありません。専門医を呼んで説明してもらったとしても、半端な知識や情報しかないコメンテーターの質問は見当違いだし、その答えもどうしても当を得ないものになるのでとても変。感染症の場合と違って、がんや難病のたぐいはあまり興味本位で飛びついてほしくないデリケートな領域なのです。野次馬的な興味が湧くから視聴率が取れる!と躍起になるのでしょうが、世間には同じ病気で苦しみながら闘病中の患者さんがたくさんいます。テレビが一律に最悪の場合の情報ばかりあおり立てることが、そんな人たちに不安を抱かせたり、不必要に疑心暗鬼にさせたりするのではないかととても心配です。

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