社会人として
この季節になると毎年書いてしまうのが、職場の廊下でのあいさつのこと。
ベテランスタッフたちに、あいさつする人と一切返事をしない人がいるのは、もう慣れました。子どものころや学校で、他人とすれ違ったらあいさつするのは基本だ!という教育を受けてきていないか、あるいはシャイで口の中でモゾモゾ答えているけど聞こえないだけか、なのだと割り切っています。「道で知らない人に声をかけられても答えたらダメよ」とお母さんや学校の先生からうるさく指導されてきた世代なのでしょうか。
そんな中で、フレッシャーズが入職してくると、おそらく彼らの最大の壁が廊下のあいさつなのだということが分かります。明らかに遠くの方から身構えている空気がかもし出されています。集団で動いている連中は、その中の誰かがあいさつするとみんな釣られてやりますが、独りで歩いている、特にドクターやパラメディカルスタッフは大半が素通りします。事務系の人たちはどこかで社会人の身だしなみとしてあいさつの仕方を教わるのに対して、社会に出る前や出てすぐ(大学病院など)にそんな研修を受ける機会のないメディカルスタッフは、それを当たり前のことだとは思えないのかもしれません。
うちは全職員、あいさつが基本の職場です。むかし、わたしが研修医として入職したころ、とてもこじんまりしたアットホームな病院で、職員は事務職から院長までみんながファミリーでしたので、ほぼ知らない人が居ない感じ。だからあいさつしないと、「あいつはあいさつもできない」とすぐに噂になったものです。でも今や日本に誇れる大病院になりました。大学病院や総合病院などでしか働いたことのない若いメディカルスタッフには、「自分に関係するスタッフ以外はみな他人。縁のない人にあいさつするのは無駄」という感じでいいと思い込んでるのかもしれませんね。「その辺の商店街を歩いている赤の他人にいちいちあいさつなどしないのと同じ事だよ」と思っているのかもしれません。
「あんたら、この病院で働いている間に最低限の社会人としての常識を身につけないと、もうその機会はないと思うよ。この大量スタッフを抱える大病院の中で、君らより位の下の人なんてほとんどいないんだから」・・・などと思いながら素通りドクターを眺めている老医であります。
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