行動を起こすとき(2)
(つづき)
さて、仕事ではその”行動を起こさせる”側の立場にいるわたし。他人に行動を起こさせる(行動変容)ということがどれだけ大変かを思い知らされてきました。20年近く前、予防医療の世界に入ったときはとにかく動脈硬化の恐ろしさをオーバーに語り、「この状態は、今日帰りに突然死しても誰も驚かないレベルですよ!」とまくし立てていました。保健師さんからは「先生にガツンと云ってもらったので受診者さんがショックを受けて『今日からがんばります』って神妙に云ってくれましたよ」と褒められて天狗になったりしましたが、実際にはそんなことでは大部分のヒトは行動を変えられないことを知っています。特に生活習慣病に対する行動変容というものは、その場では納得して「今夜からがんばろう」と心に誓ったとしても帰ったらそうも行かず(いや、しようと思ったらできるかもしれないけれど、次の健診は1年後なのだし、1日遅れてもそんなに変わりはしないし・・・とか思っているうちにすぐ1年後が来るのが常です)。
むかし、普通に喫煙をしていたころ、東京の研修会で肺がんの恐ろしさとすさまじさを1時間レクチャーされて、「もう今からたばこは吸わない!」と心に決めてその場に持っていたたばこを箱ごと捨てたのに、ホテルに帰ってビールを飲んでいたら、何か口寂しくて近くのコンビニにたばこを買いに走って吸ってしまって、ものすごい自己嫌悪に陥ったことを思い出しました。
つまり、何かに対して自ら行動を起こすということは、ものすごく大きなエネルギーが必要なのだということ。そういうことです。
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