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がんは必ずしも生活の乱れが原因ではない

最近、芸能人ががんに罹るとすぐに公表してくれるモノだから、マスコミが我れ先にと躍起になって病気の解説をします。慌ててネット検索したり近くの専門クリニックに取材したりしてつけ刃の知識で解説をするものだから、思いもよらない内容をまことしやかに説明しているのをみて苦笑いすることは少なくありません。

先日、元アイドルのFさんが舌がんの手術をした後に食道がんも見つかったことが話題になりました。「普通、食道がんは男性に多く、それは男性の方が大酒飲みや喫煙者が多いからです」「Fさんの場合はそんな環境ではなかったのにどうしてがんになったのでしょうか?」「食道は食べ物にも関係しています。熱いモノが多かったり刺激物が多かったり・・・」そんな会話を眺めながら、さすがに聞いていられなかったのでスイッチを切りました。

「何も悪いことはしていないのに、どうして自分はがんになったのか?」「どうしてわたしだけ?」と悩んでいるがん患者さんは少なくないのではないでしょうか。がん細胞なんて、毎日いくつも生まれてきています。それを自分の抵抗力で潰して回っているからがんに冒されずに済んでいるわけです。 Fさんの場合は、重複がんなので明らかに体質の影響が考えられますし、もともと特殊な病気に罹ってきていましたから免疫力の問題もあったかもしれませんが、普通の場合はタバコによる肺がんとウイルスによる胃がん、子宮頸がん以外は明確な原因はありません。「がんは生活が乱れていなければ起きないモノだ」という発想はやめましょう。

最近、本人に告知されるようになったからとか著名人が積極的に公表するようになったからというだけでなく、確かにがんは増えているように思います。これはがんになりやすい環境になった(空気の汚染や化学物質や食べ物に含まれる栄養分の変化など)こともあるのかもしれないけれど、むしろ人間の方の抵抗力(免疫力)の低下が急激に進んできたからではないか、というのがわたしの持論です。子どものころから無菌状態で保護されてきた現代人ががん細胞に勝てなくなっていくのは、自然の結果なのかもしれません。だからこれから先、若い人ほどがんになりやすくなるに違いないと懸念しております。

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